4つの「所得控除」で最大活用する!

役員報酬を減らせば税金は減ります。しかし、手取りを減らしたい社長はいないでしょう。そこで、活用したいのが社長個人の「所得控除」です。「所得控除」とは所得に対して所得税率を乗じる前に所得金額から差し引ける項目のことです。つまり、「所得控除」の金額が大きいほど税金を節税できるのです。結果、

「所得控除」を最大限活用すれば、社長の手取りを増やすことにつながるわけです。「所得控除」は、

 

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除

 

の14種類あります。ここでは社長が活用できる「①小規模企業共済等掛金控除」「②生命保険料控除」

「③地震保険料控除」「④寄附金控除」の4つの「所得控除」について解説します。

 

「①小規模企業共済等掛金控除」

社長が使える小規模企業共済等掛金控除は「小規模企業共済」と「個人型・確定拠出年金」の掛金に対するものです。両方とも掛金は全額所得控除の対象になります。「小規模企業共済」とは中小機構が運営する官製共済で個人事業主や小規模企業の役員が加入できる「退職金制度」です。「個人型・確定拠

出年金」は個人事業主や企業年金のない第2号被保険者(厚生年金)が加入できる「年金制度」です。

 

《小規模企業共済》

「小規模企業共済」は従業員が20人(卸売業・小売業・サービス業では5人〈宿泊業、娯楽業を除く〉)以下の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、会社等の役員などが加入できます。掛金は毎月1, 000円から7万円まで自由に設定できます。また、途中で掛金を増減させることも可能です。現在、掛金は予定利率1.0%で運用されています。単純に利回りだけを見ると、他に魅力的な金融商品はたくさんあるでしょう。しかし、「小規模企業共済」のメリットは他にあります。それが節税効果です。掛金全額を所得から控除できるのです。その結果、以下のような節税効果を発揮します。

 

【掛金の全額所得控除による節税額】

 

課税され

る所得金額

加入前の税額 掛金月額ごとの加入後の節税額(年間)
所得税 住民税 掛金月額

1 万円

掛金月額

3 万円

掛金月額

5 万円

掛金月額

7 万円

200 万円 104,600 円 205,000 円 20,700 円 56,900 円 93,200 円 129,400 円
400 万円 380,300 円 405,000 円 36,500 円 109,500 円 182,500 円 241,300 円
600 万円 788,700 円 605,000 円 36,500 円 109,500 円 182,500 円 255,600 円
800 万円 1,229,200 円 805,000 円 40,100 円 120,500 円 200,900 円 281,200 円
1,000 万円 1,801,000 円 1,005,000 円 52,400 円 157,300 円 262,200 円 367,000 円

中小機構・小規模企業共済制度 HP

 

例えば、課税所得金額600万円の社長が掛金5万円で加入したなら、節税額は年間182,500円になります。掛金の実質負担額は417,500円です。つまり、417,500円の掛金で60万円を積立てたことになるわけです。そう考えると、ものすごいパフォーマンスでしょう。

 

では、加入し続けると、いくら戻って来るのか?

共済金の受け取り方法は「一括受取り」「分割受取り」「一括受取りと分割受取りの併用」の3種類があります。受取額は“脱退事由”によって変わって来ます。受取額は多い順に【共済金A】>【共済金B】>【準共済金】>【解約手当金】となります。それぞれの共済金の説明は以下のとおりです。

 

【法人の役員の場合】

 

共済金の種類 請求事由
共済金A ・法人が解散した場合
共済金B ・病気や怪我により役員を退任した場合

・共済契約者の方が亡くなられた場合

・老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ方)

準共済金 ・法人の解散、病気や怪我以外の理由で役員を退任した場合
解約手当金 ・任意解約

・機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)

 

「小規模企業共済」は掛金を12ヶ月以上払い込めばいつでも解約可能です。ただし、「共済金A」「共済金B」「準共済金」は5年で払込掛金総額を上回りますが、「解約手当金」は20年以上でないと掛金払込総額を下回ります。この点においてよく誤解されていることがあります。「解約手当金」の“20年以上”という期間が独り歩きしているのです。たしかに、「解約手当金」は20年以上経過しないと掛金払込総額を下回ります。しかし、それ以外の「共済金A」「共済金B」「準共済金」は5年で元が取れるわけです。すなわち、社長が退職するケースでは“その限りではない”ということです。

 

【掛金を月額1万円の請求事由別・受け取り額】

 

掛金納付 掛金払込総額 共済金 A 共済金 B 準共済金 解約手当金
5 年 600,000 円 621,400 円 614,600 円 600,000 円 480,000 円
10 年 1,200,000 円 1,290,600 円 1,260,800 円 1,200,000 円 1,020,000 円
15 年 1,800,000 円 2,011,000 円 1,940,400 円 1,800,000 円 1,665,000 円
20 年 2,400,000 円 2,786,400 円 2,658,800 円 2,419,500 円 2,400,000 円
25 年 3,000,000 円 3,620,200 円 3,415,200 円 3,107,840 円 3,075,000 円
30 年 3,600,000 円 4,348,000 円 4,211,800 円 3,832,740 円 3,780,000 円

中小機構・小規模企業共済制度 HP

 

【共済金と解約手当金の課税関係】

 

共済金と解約手当金 課税関係
共済金AB・準共済金の一括受取り 退職所得扱い
共済金ABの分割受け取り 公的年金等の雑所得扱い
共済金ABの一括・分割 併用受取り (一括分)退職所得扱い

(分割分)公的年金等の雑所得扱い

共済契約者の死亡(死亡退職金) (相続税法上)みなし相続財産
65歳未満の任意解約(解約手当金) 退職所得扱い
65歳以上の任意解約(解約手当金) 一時所得扱い

 

いずれにしても、「小規模企業共済」は社長が使える4つの「所得控除」の中でもNO.1です。これは加入した方が良いというより、「加入しておくべき!」ものです。たしかに、卸売業・小売業・サービス業などは加入条件が従業員5人以下と比較的厳しいですが、これはあくまでも加入時の要件です。加入後に人数が増えて該当しなくなっても引き続き加入は認められます。掛金は月額1,000円からOKです。手取りを

最大化したい社長なら加入条件を満たしているうちに少ない掛金でも入っておいた方が良いでしょう。

 

《個人型・確定拠出年金》

「個人型・確定拠出年金」の掛金も小規模企業共済「等」掛金控除に含まれます。「等」の方です。「個人型・確定拠出年金」は毎月の掛金があらかじめ確定する一方、将来の年金受取額が運用次第で変わります。社長は厚生年金加入者なので掛金上限は月額23,000円、年間276,000円までになりますが、税金面で次の3つのメリットがあります。

 

  • 掛金は全額所得控除の対象になる
  • 運用中の運用益は非課税になる
  • 受取年金は退職所得扱いなるその反面、「個人型・確定拠出年金」には最低60歳まで「キャッシュが固定化してしまう」「運用リスクがある」「管理コストがかかる」などのデメリットもあります。以下、「小規模企業共済」との比較です。

 

【小規模企業共済と個人型・確定拠出型年金の比較】

 

条件 小規模企業共済 個人型・確定拠出年金
掛金 月額70,000円 月額23,000円
加入資格 従業員が20人(卸売業・小売業・サービス業は5人〈宿泊業、娯楽業を除く〉) 20歳~60歳未満の厚生年金加入者

(運用自体は70歳まで可能)

利率 予定利率1.0% 運用次第
投資リスク なし あり
運用コスト なし あり
受取方法 一時金 OR

10年・15年の有期年金

原則5年~20年の有期年金
受取開始 定めなし(任意解約可) 60歳~70歳までの間
受取時課税 退職所得控除 OR公的年金等控除 退職所得控除 OR公的年金等控除
貸付制度 あり なし

 

受取開始や貸付制度という点で、いざというときの自由度は「小規模企業共済」に軍配が上がります。よって、「小規模企業共済」に満額加入して、それでもさらに余裕がある場合は「個人型・確定拠出年金」に加入するのが良いと思います。両方とも満額加入すれば年間1,116,000円の所得控除を利用できます。

 

②生命保険料控除

社長にとって一番賢い生命保険の入り方は【個人】では「生命保険料控除」の範囲まで加入し、残りは【会社】の経費で加入することです。やはり会社の経費で落とせるものは経費で落とした方がトクだからです。ところが、多くの社長が「生命保険料控除」の枠を超えて個人で多額の生命保険に加入しています。

 

ご存知のとおり、「生命保険料控除」は加入商品によって決まっています。「一般の生命保険料」は1年間の払込保険料が8万円までが限度です。8万円を超えて保険料を払っても所得控除は頭打ちです。一方で、介護保険料や年金保険料の枠を利用していない社長もいます。介護保険料と年金保険料にも8万円の枠がありますので、【個人】では各商品に年間保険料8万円を少し超えるあたりで加入するのが節税面ではベストです。

 

年間保険料8万円超
一般生命保険料控除 一律4万円
介護医療保険料控除 一律4万円
個人年金保険料控除 一律4万円

 

③地震保険料控除

社長個人が「地震保険」に加入しているなら最高5万円の所得控除があります。地震保険は地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による損害を補償する地震災害専用の保険で、居住用の建物と家財が対象となります。保険金額は火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で決められます。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。

 

④寄附金控除

これは「ふるさと納税」を使って社長の手取りを最大化する方法です。税制上は「ふるさと納税」は納税ではなく「寄附」になります。つまり、「ふるさと納税」で「寄附金控除」を受けた分だけ税金が安くなるという仕組みです。通常、「寄附」とは見返りのないものですが、「ふるさと納税」は違います。寄附をした地方自

治体から特産品や特典などをもらえます。寄附なのに見返りがある。それが「ふるさと納税」です。

 

■ 「ふるさと納税」でもっともおトクに税金を減らすには?

「ふるさと納税」は最低2,000円以上の寄附に対して所得税・住民税が安くなります。結論をいうと、「寄附金総額-2,000円」が所得税の還付および住民税の減額という形でキャッシュバックされるわけです。

 

例えば「ふるさと納税」で3つの地方自治体に20,000円ずつ計60,000円寄附したとします。すると、3 つの地方自治体から特産品や特典が送られてきます。その特産品や特典が10,000円相当だったとしましょう。このとき60,000円寄付して10,000円相当の特産品と特典だったら「損しているのでは?」と思うかもしれませんが、確定申告後に58,000円の税金が戻って来るのです。つまり、2,000円の自己負担で10,

000円相当の特産品と特典が手に入る。これが「ふるさと納税」のメリットです。流れはこうです。

 

  • 好きな地方自治体に寄付する
  • 地方自治体から特産品等と寄附金の証明書が送られてくる
  • 証明書を添付して確定申告を行う
  • 「寄附合計額-2,000円」がキャッシュバックされる

 

本当は戻って来る税金額についてはややこしい計算式があるのですが、ここでは省略します。その代わり、「ふるさと納税」でもっともおトクに税金を安くできる限度額をご紹介しておきます。「ふるさと納税」の寄附金額には制限はありません。しかし、無制限に寄付しても税金が安くなるとは限りません。例えば年収1,000万円の社長(妻は専業主婦・子ナシ)であれば、「ふるさと納税」の限度額は166,000円です。

つまり、この金額以上に「ふるさと納税」をしても、節税メリットはないということです。

 

では、あなたの場合はいくらならトクなのか?下記の限度額を目安に「ふるさと納税」するのがもっともトクする方法です。

 

【全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安】

総務省 ふるさと納税ポータルサイト

2,000 円を除く全額が控除できる寄附金額の一覧(目安)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000408217.pdf

 

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