「中退共」を使って 会社のキャッシュを最大化する!

給与の一部を「中退共」にする!

従業員の社会保険料を削減できれば、その分だけ会社に残るキャッシュを最大化できます。通常、従業員の給与を下げない限り、社会保険料は削減できません。しかし、このアイデアなら従業員の待遇を下げずに、社会保険料を削減できます。それが「中小企業退職金共済制度」(以下、中退共)を活用した社会保険料削減対策です。

 

中小企業退職金共済制度(中退共)

独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が運営している中小企業のための退職金制度です。

 

■ 「中退共」のポイントとメリット

まずは中退共のポイントを確認しておきます。ポイントは以下の3点です。このうち 3. という制限があるゆえ、オーナー社長は「中退共」の導入を躊躇するのですが、モノは考えようです。実は、中退共は従業員の退職準備金としてはもちろん、掛金が全額経費となり節税効果がある他、使い方によっては社会保険料の削減にも役立つからです。

1.掛金月額は5,000円~30,000円(全額法人負担)

2.掛金は全額経費

3.退職金は従業員に直接振込

さらに、「中退共」には以下のメリットがあります。

  • 新規加入助成

掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間にわたって国が助成してくれます。例えば、新規で1万円加入した場合は6万円(5,000円×12ヶ月)を国から助成してもらえるわけです。

  • 月額変更助成

掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額した場合は増額分の3分の1を増額月から1年間にわたって国が助成してくれます。

  • 自治体の助成

中退共は自治体から手厚く助成してもらえます。助成自治体とは、中小企業の振興と労働者の福祉の増進などに寄与することを目的として、中小企業退職金共済制度に加入している事業所に対して補助制度を実施している地方自治体です。

(例)神奈川県平塚市の中小企業退職金共済掛金補助制度

平塚市では「中小企業退職金共済制度」に加入している事業主に対し、掛金の一部を補助しています。

  • 補助対象者:市内で1年以上継続して事業を営んでいる事業者
  • 補助金額:被共済者1人@月額掛金3,000円限度としてその15%の額
  • 補助期間:新規に共済契約を締結した月から3年間

■ 月額給与の一部を「中退共」に充当する!

この方法のアイデアはシンプルです。従業員の月額給与の一部を「中退共」の積立に回す。これだけです。要は、そうすることで「従業員も会社もお互いメリットのある形で、社会保険料を削減できますよ!」という話です。

社会保険料は月額給与に比例して上昇していきます。逆に、月額給与を下げないと、社会保険料は削減できないわけです。しかしながら、単純に月額給与を下げるのは従業員のモチベーション低下につながるでしょうし、不利益変更となって面倒なことにもなりかねません。そこで、そうした法人と従業員にとってのトレードオフを解消するツールとして、「中退共」を活用するわけです。

給与 社会保険料

例えば、月額給与40 万円の場合で考えてみましょう。月額給与を減らしてその分で月額30,000円を「中退共」に充当すると、ご覧のとおり、労使合計で①-②=179,160円の社会保険料削減につながるのです。会社の社会保険料削減額は 1 人あたり年額 89,580円になります。従業員が10人いたら年額89

5,800円です。無視できない削減額でしょう。

給与40万円の社会保険料

                           

社会保険 法人負担 個人負担
健康保険・介護保険                                 23,698 円 23,698 円
厚生年金保険 37,515 円 37,515 円
月額負担計 61,213 円 61,213 円
年間負担計 734,556 円 734,556 円
労使合計 1,469,112 円 … ①

 

給与37万円の社会保険料

社会保険 個人負担
法人負担
健康保険・介護保険                                 20,808 円 20,808 円
厚生年金保険 32,940 円 32,940 円
月額負担計 53,748 円 53,748 円
年間負担計 644,976 円 644,976 円
労使合計   1,289,952 円 … ②

※東京都協会けんぽの場合/介護保険料を含めた場合で計算

ここでの法人のメリットは

1.社会保険料を削減できる(年額89,580円)

2.助成が受けられる(国:年間60,000円)+自治体:16,200円 ※(例)平塚市の場合

一方、従業員のメリットは

1.社会保険料を削減できる(年額89,580円)

2.所得税・住民税の軽減

3.中退共の掛金は予定利率1%で増える

同じ40万円の支出でも、法人は社会保険料の削減額と助成額がそのままメリットにつながります。一方、

従業員は月額給与こそ下がるものの、「中退共」の積立金は固有資産になるわけですから、最終的な手元キャッシュが増えるメリットがあるわけです。

 

中退共掛金30,000円の退職金シミュレーション(予定利率1%)

                           

納付年数 掛金納付総額 退職金支給額
3 年 1,080,000 円 1,080,000 円
5 年 1,800,000 円 1,824,600 円
7 年 2,520,000 円 2,602,800 円
10 年 3,600,000 円 3,796,800 円
15 年 5,400,000 円 5,850,000 円
20 年 7,200,000 円 7,999,800 円

 

ちなみに、小規模事業者では親族従業員がいることも多々ありますが、「中退共」は親族従業員でも加入できます。仮に掛金3万円で加入すれば本人は上記の退職金支給額を受け取ることができ、会社は年間36万円を経費化できることになります。

■ 導入手続きについて

「中退共」の未加入企業は新規加入の手続きを済ませます。既加入企業は掛金の増額手続きなどで対応することになります。次に、従業員の額面年収を引き下げることになりますので、後々トラブルにならないよう、書面による同意を取っておいた方が良いでしょう。例えば、個別同意を取る際には、従業員の理

解を得られるように面談などで丁寧に説明をし、以下のような「同意書」を取り付けておきます。

 

 平成 27 年 9 月 1 日

*****株式会社

代表取締役 ****殿

退職金制度導入に伴う給与改定に関する同意書

私は、退職金制度導入に伴う給与改定について、会社より説明を受け、その内容を  十分に理解したうえで、制度変更に同意します。

所属  ***部***課  社員氏名  **** 印

 

 

従業員の同意を取り付けたら、「随時改定」により年金事務所に『被保険者報酬月額変更届』を提出して手続き完了です。これで3ヶ月後には会社の社会保険料が下がります。

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