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「借り上げ社宅」で従業員の社会保険料削減!
従業員の中には賃貸住宅に住んでいる人もいます。しかし、中小企業では従業員に「住宅手当」を支給しているところはあっても、「借り上げ社宅制度」を導入しているところは少ないのが実情です。ならば、「住宅手当」を廃止して、「借り上げ社宅制度」を導入します。そうすることで、従業員の社会保険料を削減して会社に残るキャッシュを最大化できるからです。
■ 給与を下げて「借り上げ社宅」に切り替える
この方法のロジックは簡単です。まず従業員が個人で契約していたアパート・マンションの賃貸契約を【会社名義】に変更して、今後は「借り上げ社宅」として会社で家賃負担します。次に、従業員の給与を家賃相当分引き下げます。すると、給与が下がった分、従業員は社会保険料・所得税・住民税が軽減されるので、可処分所得が増えることになります。一方、会社は給与を下げた分だけ社会保険料を削減できるというわけです。
従業員のメリット | 会社のメリット |
所得税・住民税・社会保険料の軽減 | 社会保険料の削減 |
具体例を挙げましょう。例えば、従業員が月額給与20万円だとして、月額家賃8万円のマンションに居住しているとします。ここでは居住地域は「神奈川県」とします。ならば、月額給与を家賃相当分だけ12万円に引き下げます。
まずは税金面からです。「借り上げ社宅」は家賃の90%を「非課税手当」とすることができます。よつて、月額家賃8万円に対して自己負担を1万円させるようにします。そうすれば、会社負担の家賃に課税されることはありません。その一方で、給与が下がっていますから当然、その分だけ本人の所得税と住民税が軽減されることになります。
次に、社会保険料です。社会保険料は会社負担の家賃全額が算定基礎から外れるわけではありません。“たたみ1畳あたりいくら”で「現物給与」を計算し、その額を算定基礎に含める必要があります。神奈川県の場合ですと、たたみ1 畳あたり@2,070円です。ここでは居住用スペース21畳で計算しています。
すると、現物給与の価格は43,470円になります。
以上の内容を比較表にすると、こうなります。
対策 | 対策後 | 対策前 |
給与 … ① (うち自己負担) | 月 120,000 円 | 月 200,000 円 |
月 10,000 円 | ||
住宅家賃 | ―― | 月 80,000 円 |
可処分所得 | 月 120,000 円 | 月 120,000 円 |
現物給与 … ② | 月 43,470 円 | ―― |
社保算定基礎(①+②) | 月 164,470 円 | 月 200,000 円 |
健康保険 | 月 9,248 円 | 月 11,560 円 |
厚生年金 | 月 14,460 円 | 月 18,300 円 |
保険料計 | 月 23,708 円 | 月 29,860 円 |
差額(月) | 月 6,152 円 | |
差額(年) | 年 73,824 円 |
ご覧のとおり、本人の社会保険料は年間73,824円軽減されることになります。一方、会社もそれと同額
(年間73,824円)の社会保険料を削減できるわけです。
■ 導入手続きについて
導入にあたってはまず従業員の同意を得る必要があります。後々のトラブル防止のため、この方法のメリットとデメリットを説明します。メリットは先述のとおり、デメリットは老齢厚生年金(遺族厚生年金等含む)の受取額が減ることですが、今どき公的年金に期待している人も少ないでしょうから、たいていは目先の経済メリットを優先するのではないでしょうか。
次に従業員の同意を得たら賃貸物件管理会社に連絡します。「法人名義」で賃貸契約書を再締結するためです。その際、管理会社によっては契約手数料(4~5万円程度)をチャージしてきますが、これは導入メリットを考えれば仕方なしでしょう。契約後は当然、会社から管理会社に毎月家賃を振り込みます。
最後に、従業員の住まいの間取りを確認のうえ「現物給与」を計算します。「現物給与」を計算したら、それを算定基礎に加えて、「随時改定」により年金事務所に『被保険者報酬月額変更届』を提出します。
これで3ヶ月後には会社の社会保険料が下がります。
【全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)】
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo–kankei/hoshu/20150511.files/2017.pdf
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