補助金:申請から入金までの流れを一挙解説
はじめに
補助金実務の全体や現場で行われることなどを全て知りたい方はこちらから、マニュアル動画を受け取っておいてください
1.補助金の選定
2.申請
3.採択・交付申請
審査期間は大体2ヶ月から3ヶ月程度で、その後、採択発表が行われます。採択されると、ほとんどの補助金で採択通知書が交付されます。これは、紙で送られてくる場合もあれば、電子データの場合もあります。
しかし、採択通知書を受け取っただけでは、事業を開始することはできません。実際に補助金を使って、契約や支払いを始めるには、交付決定通知書を受け取る必要があります。交付決定通知書を受け取るまでは、原則として何も始めてはいけません。
ただし、例外もあります。コロナ禍の時期には、時間がないという理由で、交付決定通知書を受け取る前から事業を開始できるケースもありましたが、基本的には、交付決定通知書を待つ必要があります。
補助金によっては、交付申請という手続きが必要になります。小規模事業者持続化補助金にはこの手続きはありませんが、ものづくり補助金や事業再構築補助金などには必ずあります。交付申請では、申請内容と合致する見積書や、事業実施内容の再確認などが行われます。具体的には、提出した事業計画の再確認や、実績報告時に提出する見積書の確認などを行います。これは、以前提出した内容の確認と、実績報告の予告のようなものです。
先ほど、小規模事業者持続化補助金には交付申請がないと説明しましたが、申請書類に不備があった場合は、申請の差し戻しがあり、書類を整備しないと交付決定通知書がもらえません。
IT導入補助金のように、最初の電子申請を交付申請とみなす場合もあります。この場合、交付申請後に審査が行われ、採択発表と同時に交付決定通知書が発行されます。このように、補助金によって手続きが異なるため、注意が必要です。
交付決定通知書を受け取ったら、できるだけ早く事業を開始してください。電子申請後、採択されても、すぐに交付申請をしない人が多いです。ギリギリまで待ってしまう人が多いのですが、そうすると実績報告が遅れてしまうため、交付決定通知書はできるだけ早く受け取るようにしましょう。
交付申請が遅れる原因の一つに、交付申請の段階で事業計画があやふやなことがあります。事業計画時と交付申請時で、取引先の価格が変わることもありますが、交付申請というステップがあることを理解しておかないと、後で苦労することになります。
以前、サポートしている方から「補助金の申請対象になるか」という質問を受けました。例えば、開発をする際の原材料費は補助対象になることが多いですが、対象経費にしてしまうと、提出書類が増えるなど苦労する場合があります。そういったことも理解した上で、補助金を利用するようにしてください。サポートする側も、そうした知識を持っている必要があると思います。申請する人は、これらのことを認識しておいてください。
交付決定通知書は、郵送ではなく、電子申請画面やJグランツなどのシステム上で受け取ることが多いです。
4.事業の実施(対象の設備などを買う)
5.実績報告
事業が完了したら、次は実績報告です。実績報告では、各補助金で定められた実績報告書を提出します。ここで最も重要なのが、証憑書類です。証憑書類とは、見積書、発注書、納品書、請求書、支払いを証明する書類などのことです。これらの書類を全て揃える必要があります。また、導入した設備などの写真も必要になります。
IT導入補助金では、導入したITツールに、申請者の名前が記載されているスクリーンショットを提出する必要がある場合があります。以前、不正があった例として、すでに導入済みのツールを、会社名だけ変えてスクリーンショットとして提出し、実際には契約していなかったというケースがありました。このような不正は必ず発覚するため、絶対に行わないでください。
また、申請サポート業者の中には、事実を偽るような行為を勧めてくる業者もいるかもしれません。そのような業者とは関わらない方が良いでしょう。
IT導入補助金では、IT導入支援事業者と、ITツールを導入する申請事業者がいます。以前、15社ほどのIT導入支援事業者が登録を取り消されたことがあり、その場合、申請事業者の補助金も取り消しになります。つまり、補助金を返還しなければならなくなります。調査が入る場合もあるため、不正行為には注意が必要です。
もし、申請をサポートしてくれる人が、「そういうこと(不正)ってできるんですか?」などと言ってきたら、注意してください。中には何も知らない方もいるかもしれませんが、そういった発言はしない方が良いと思います。なぜなら、不正行為は発覚するリスクがあるからです。
実績報告書と必要書類を提出して問題がなければ、確定通知書が発行されます。確定通知書とは、補助金額が確定したことを知らせるものです。
6.確定通知
確定通知書が発行されたら、ほとんどの補助金で、通帳と振り込み口座を申請します。申請が受理されると、大体5日から10日ほどで入金されます。
入金後には、効果状況報告や経過状況報告など、補助金によって異なる報告が求められます。例えば、事業再構築補助金では、5年間にわたってその後の経過を報告する必要があります。小規模事業者持続化補助金の場合は、1年後に効果状況報告を行うと、その後また申請できるようになります。IT導入補助金やものづくり補助金では、3年から5年の報告期間が設定されていることが多いです。
注意点としては、例えば5年間の報告期間が設定されている場合、導入した設備などを4年以内に廃棄することは認められないということです。
以上が、補助金申請から入金までの全体像です。次回からは、具体的に何をすべきかについてお話していきたいと思います。