補助金申請で使えるAI活用シーン
もくじ
補助金申請を取り巻く現状:AIの誤解と精神的負担
AI活用の本質:書くのではなく「動いてもらう」
補助金申請の流れ:全体像の把握が重要
補助金申請におけるAI活用の可能性:全工程で活用できる
具体的なAI活用シーン:6つのステップ
1. 公募要領の分析:AIで効率的な情報収集
2. 補助金の目的との合致確認:AIに質問してズレをなくす
3. 加点項目・提出書類の確認:初期段階での徹底的なチェック
4. 事業計画:音声データと資料を基にAIを活用
事業計画作成におけるAI活用:情報抽出と編集
プロンプトの活用:AIへの指示内容を具体的に
補助金申請におけるAI活用:従業員の理解と協力を得る
まとめ:AIは効率化のパートナー
今後の展望:勉強会のご案
はじめに:なぜ今、補助金申請にAIなのか
阿久津です。この記事では、補助金申請におけるAIの活用シーンについてお話しします。巷ではAIで何でもできるという情報が飛び交っていますが、補助金申請においてはAIで「書く」ことは推奨されていません。しかし、AIをうまく活用することで、申請プロセスを大幅に効率化できる方法があるのです。今回はその具体的な方法の一部をご紹介します。
補助金申請を取り巻く現状:AIの誤解と精神的負担
まず、なぜこの話をするのかについてです。AIで何でもできるという情報が広まっている一方で、補助金申請においてはAIで書くことは推奨されません。しかし、AIをうまく活用することで効率化できる方法があります。今回はその一部をご紹介します。
動画撮影日の12月12日現在、補正予算案が衆議院で可決される見込みです。今後、補助金の情報や、それをサポートする人向けの話、また補助金をフックにしたコンサルタントの活躍に関する動画も配信していく予定です。興味のある方はぜひチェックしてください。
AI活用の本質:書くのではなく「動いてもらう」
では、補助金申請でAIを活用できるシーンについて具体的に見ていきましょう。AIをきちんと理解して使っている人は、AIで「書く」という言葉はあまり使いません。AIはあくまでも「動いてもらう」ためのツールとして捉えられています。もしAIが文章を書くことが主流になったら、AIで書かれたかどうかをチェックするような動きが出てくる可能性もあるでしょう。
また、補助金申請は精神的な負担が大きいことも事実です。その苦痛を避けるために私たちに依頼される方もいますが、完全に苦痛がなくなるわけではありません。この点も含め、AIをどのように活用できるかをお話していきます。
補助金申請の流れ:全体像の把握が重要
補助金活用の一般的な流れは以下の通りです。
- 補助金を選定する
- 事業計画や必要書類を準備する
- 電子申請を行う
- 採択発表を待つ(約1ヶ月〜3ヶ月)
- 交付申請を行う
- 交付決定通知書を受け取る
- 実績報告を行う
- 確定通知を受け取る
- 入金
交付申請では、申請時に提出した見積書や平面図などの書類が、事業をきちんと行うためのものか確認されます。交付決定通知書を受け取って初めて、契約や支払いを進めることができます。その後、実績報告では、手引きに従って報告書を作成し、書類を提出します。ここで不備があると差し戻しが発生し、何度もやり取りが必要になる場合もあります。
この差し戻し対応については、ネット上にも情報が少なく、経験している士業も少ないため、あまり知られていません。しかし、申請時に気を付けておかないと、後で大きな問題に発展する可能性があります。今日はAIの話がメインですが、勉強会などでは全体像を把握することの重要性についてもお話したいと思っています。
実績報告後、確定通知を受け取ると、通帳の情報を送付します。この際、口座名義や口座番号などの情報に不備があると、入金が遅れることがあります。
補助金申請におけるAI活用の可能性:全工程で活用できる
では、具体的にどの部分でAIが活用できるのかを見ていきましょう。
実は、電子申請以外は全ての箇所でAIを活用できます。交付申請では、特に事業再構築補助金のような、見積依頼書、発注書、請求書、納品書など、普段使わない書類の準備が大変な場合があります。こういった書類作成には生成AIが非常に役立ちます。
また、補助金事務局の担当者によっては、非常に丁寧な場合とそうでない場合があり、それも精神的な負担になります。これらの対応についてもAIをうまく活用していく必要があります。
具体的なAI活用シーン:6つのステップ
ここからは、補助金申請で使える具体的なAI活用シーンについて説明します。
- 公募要領の分析
- 補助金の目的との合致確認
- 加点項目・提出書類の確認
- 事業計画に必要な情報収集・整理・素材作成
- 補助金申請に必要な書類作成
- 不備解消のための資料作成
1. 公募要領の分析:AIで効率的な情報収集
まず、公募要領の分析には、ChatGPTやGoogle AI Studioなどの生成AIツールを使います。PDFをアップロードして、補助金の概要、対象経費、提出書類などを質問すると、情報をまとめてくれます。
2. 補助金の目的との合致確認:AIに質問してズレをなくす
次に、補助金の目的と合致しているかどうかの確認ですが、これはAIを使わなくても、公募要領に記載されている目的を読めば分かる場合が多いです。もし分かりにくい場合は、AIにわかりやすく説明してもらうことも有効です。
3. 加点項目・提出書類の確認:初期段階での徹底的なチェック
加点項目や提出書類の確認は、初期段階で非常に重要です。AIに概要を把握してもらった上で、改めて中身を確認することで、無駄な作業を減らすことができます。
4. 事業計画:音声データと資料を基にAIを活用
事業計画に関しては、音声データや資料から必要な情報を抜き取る際に、生成AIをよく使います。ただし、長文の生成は精度が落ちやすいので、バックグラウンドの処理に使うのがおすすめです。
また、交付申請後の実績報告では、見積書と納品書の内容が異なる場合、詳細な理由を求められることがあります。これに対しても、AIを使って情報を整理し、回答を作成することができます。
5.事業計画作成におけるAI活用:情報抽出と編集
まず、お客様との会話を録音し、文字起こしを行います。Zoomの機能やNottaなどのツールが便利です。外国人との打ち合わせでは、リアルタイム文字起こしが有効です。
次に、文字起こしされた内容をAIで綺麗にまとめます。余計な言葉や話の脱線を整理し、文章を整えます。この際、Gemini 1.5 Proを使うと、不必要な部分だけを削除し、元の意味を維持したまま文章を短縮できます。
整理された文章を基に、小規模事業者持続化補助金などの事業計画のアウトラインを作成します。項目ごとに内容を振り分け、プロンプトを使って必要な情報を抽出します。それぞれのプロンプトで回答を得た後、人が修正することで、最終的な事業計画を完成させます。
6.不備解消
例えば、業者とミーティングした内容を証明する書類を出してください、と言われたとします(これは結構言われます。)
そんな時ミーティングのレコーディングの文字起こし、と議事録を出してやれば完璧ですね。その際いちいち手動でやっていては時間がかかりすぎますから、生成AIを活用すれば、10分程度で出来上がってしまいます。
プロンプトの活用:AIへの指示内容を具体的に
プロンプトとは、AIへの指示内容のことです。例えば、「会社概要を作成してください」といった指示をすることで、AIに素材を振り分けてもらいます。この際、AIに完全に任せるのではなく、人が必ず内容を確認し、修正を加えます。
AIは、新たな言葉を生み出すのではなく、既存の言葉の中から必要な部分を抜き出し、編集するのに適しています。この能力を最大限に活用することで、事業計画に必要な情報を効率的に集めることができます。
会社のストーリーや従業員、顧客のストーリーをきちんと聞き取ることで、事業計画の質を高めることができます。
まとめ:AIは効率化のパートナー
補助金申請でAIを活用できるシーンは多岐にわたりますが、重要なのは、AIを単なるツールとしてではなく、効率的な情報収集・整理・編集のためのパートナーとして活用することです。
特に、事業計画作成においては、お客様からいかに多くの情報を引き出せるかが重要になります。そのために、質問リストを事前に準備しておくと良いでしょう。
今回の仕組みはまだ手動の部分が多いですが、それでも従来の方法よりはるかに短時間で、ストレスなく作業を進めることができます。
補助金申請は、会社の情報を整理し、メッセージを伝えるためのマーケティングとセールスの一部です。事業計画は、会社の決算書や社長の思い、日々の営業活動など、会社のあらゆる情報に基づき作成されます。