飲食店にも使える補助金はいくつかあります。「補助金は製造業や IT 企業だけのもの」と思っていた方も多いのですが、持続化補助金・IT 導入補助金・ものづくり補助金など、飲食業者が実際に採択されている制度があります。この記事では、飲食店が活用できる補助金の種類と、具体的な活用の場面をまとめます。

飲食業は、食材費・人件費・光熱費の上昇、人材不足、デジタル化への対応など、様々な経営課題を抱えることが多い業種です。こうした課題に取り組む際の投資を後押しするのが補助金の役割のひとつです。飲食店経営者の中には、補助金で POSレジシステムを導入したり、テイクアウト対応のパッケージを整えたり、新メニュー開発のための調理機器を購入したりするケースがあります。

ただし、補助金は「何でも買える」制度ではありません。制度ごとに対象経費・申請要件・補助率が定められており、事業計画書で「この投資がどのように売上・生産性の向上につながるか」を説明することが採択の鍵になります。

飲食店の補助金活用イメージ
テイクアウト・EC販売・デジタル化など、飲食業の新しい取り組みに補助金を活用できることがあります

飲食店が使える主な補助金の種類

飲食店が申請できる可能性がある補助金を、目的別に整理します。

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)

飲食店が最も活用しやすい補助金のひとつです。商工会・商工会議所が管轄する制度で、小規模事業者(サービス業は従業員5人以下が目安・公募要領で確認が必要)の販路開拓・集客対策を支援します。補助対象経費の幅が広く、飲食業に合わせた活用がしやすい制度です。公式:全国商工会連合会公式サイト

飲食店の持続化補助金で対象になることがある経費例
  • テイクアウト・デリバリー用の容器・包装資材費
  • 新メニューの広告チラシ・ポスター・メニューブック制作費
  • 飲食店のWebサイト・オンライン予約システム構築費
  • 料理写真・店舗写真の撮影費
  • グルメサイト・SNS広告の出稿費
  • テイクアウト専用カウンター・什器の設置費(一定条件あり)

IT導入補助金(経済産業省)

飲食店のデジタル化を支援する制度として、IT導入補助金が活用できることがあります。POSレジシステム・セルフオーダーシステム・予約管理ツール・勤怠管理システム・会計ソフトなど、業務効率化・売上管理・人件費削減に直結するITツールが対象になることがあります。IT導入支援事業者として登録されたベンダーのツールを選ぶ必要があります。公式:IT導入補助金公式サイト

飲食店のIT導入補助金で対象になることがあるツール例
  • POSレジシステム(売上管理・在庫管理・日報自動化)
  • テーブルオーダー・セルフオーダーシステム
  • ネット予約・予約管理システム
  • 勤怠管理・シフト管理システム
  • 会計・経費管理ソフト(インボイス対応・電子帳簿対応)
  • デリバリー注文管理システム

ものづくり補助金(中小企業庁)

飲食業でも、新しいサービスや料理の開発に向けた設備投資にものづくり補助金を活用できることがあります。例えば、新業態への転換に伴う厨房機器の整備、フードテック・製造直売型への転換のための加工設備導入、新しい食品の試作・開発に必要な機器購入などが対象になることがあります。認定支援機関との共同申請が必要です。公式:ものづくり補助金公式ポータル

飲食店の補助金申請サポートイメージ
商工会・認定支援機関のサポートを受けることで申請書の完成度を高めやすくなります

飲食店の補助金活用事例

実際にどのような形で飲食店が補助金を活用しているか、場面別に整理します。あくまで活用の参考として提示するものであり、同じ取り組みが必ず採択されることを保証するものではありません。

活用事例1:テイクアウト・デリバリー対応の強化

持続化補助金を活用して、テイクアウト用の容器・パッケージ・保温バッグを調達し、新たにデリバリーメニューのチラシを制作。同時にGoogleビジネスプロフィールとグルメサイトへの掲載広告費も補助対象として申請したケースがあります。テイクアウト需要の取り込みを「販路開拓」として事業計画書に落とし込むことで、採択につながることがあります。

活用事例2:POSレジ導入で売上管理と人件費を同時改善

IT導入補助金を活用してPOSレジシステムを導入。売上データの自動集計・在庫管理・日報作成の自動化により、閉店後の集計作業時間が大幅に削減されたケースがあります。人件費の削減効果を数字で示すことが、申請書の説得力につながります。インボイス制度・電子帳簿保存法への対応を同時に整えた点も評価につながることがあります。

活用事例3:新業態・テイクアウト専門店への転換

ものづくり補助金を活用して、既存の飲食店の一部スペースをテイクアウト専門カウンターに改装し、冷凍食品・冷蔵惣菜の製造・販売ラインを整備したケースがあります。「飲食サービスから食品製造・直売型への転換」という形で新分野展開として申請されることがあります。認定支援機関のサポートを受けながら事業計画書を作成することが重要です。

飲食店が補助金申請で注意すべきポイント

飲食業の補助金申請で特に確認しておくべきポイントを整理します。

  • 対象経費の「事前購入」は補助対象外になることがある 補助金は原則として、交付決定通知を受け取った後に発注・支払いした経費が対象です。公募開始前・採択前に購入した厨房機器・POSシステム等は補助対象外になることがあります。
  • 「食材費」「消耗品費」は基本的に対象外 補助金は設備・システム・広報ツール等の「投資的支出」を対象とする制度が中心です。日常的に消費する食材・調味料・消耗品は補助対象外になることがあります。
  • 「汎用品」は補助対象外になることがある 飲食店以外の用途にも広く使われる汎用的な機器(家電・一般的なパソコン等)は補助対象外になることがあります。業務用途であることを公募要領で確認することが重要です。
  • 事業計画書に「飲食業ならではの差別化」を書く 「同業他社と何が違うのか」を事業計画書に書くことが、採択率に影響することがあります。地域性・専門性・新しい提供方法・ターゲット顧客の明確さを具体的に記載することが重要です。

飲食店が補助金を申請する際の流れ

ステップ 内容 注意点
制度の選定 目的(販路開拓・IT化・設備投資)に合った補助金を選ぶ 複数の制度に同時申請できる場合もあります(同一経費への重複申請は不可)
相談窓口への連絡 商工会・商工会議所、または認定支援機関に相談する 公募締切直前は混み合うため、早めに相談することが重要です
事業計画書の作成 「誰に・何を・どう提供するか」「投資後の売上見通し」を記載する 数字の根拠が薄いと採択されにくいことがあります
申請書の提出 jGrantsまたは紙申請(制度による)で提出する 書類の不備・添付漏れに注意が必要です
採択後の事業実施 交付決定通知後に発注・購入・支払いを行う 事業期間内に完了させる必要があります
実績報告・補助金受領 証憑書類(領収書・請求書等)を揃えて報告書を提出する 書類の保管期間が定められていることがあります

飲食業の補助金に関する公式情報

各制度の最新情報は、公式サイトで確認することが重要です。公募期間・補助率・補助上限額は年度・回ごとに変わることがあります。

  • 中小企業庁「ミラサポplus」 https://mirasapo-plus.go.jp/
    補助金・助成金の検索・専門家相談の窓口。飲食業向けの事例も掲載されることがあります。
  • 全国商工会連合会(持続化補助金) https://www.shokokai.or.jp/
    商工会管轄の持続化補助金の公式情報・申請窓口。
  • IT導入補助金公式サイト https://it-shien.smrj.go.jp/
    IT導入補助金の公募要領・登録ツール一覧・申請手順を確認できます。

よくある質問

Q飲食店は持続化補助金に申請できますか?
A

飲食店も小規模事業者持続化補助金の申請対象になることがあります。従業員数5人以下(飲食業はサービス業に分類されることが多く、要件は公募要領で確認が必要です)の小規模事業者が対象です。チラシ制作・Webサイト構築・テイクアウト容器等の経費が補助対象になることがあります。

Q飲食店の厨房設備は補助金の対象になりますか?
A

ものづくり補助金では、新たな料理・サービスの提供に必要な厨房機器・設備が補助対象になることがあります。ただし、老朽化した既存設備の単純な更新は対象外になることがあります。「新しい取り組みのための投資」であることを事業計画書で明示することが重要です。

Q個人経営の飲食店でも補助金に申請できますか?
A

個人事業主の飲食店も、持続化補助金・IT導入補助金などの対象になることがあります。確定申告書・開業届・事業計画書などの書類が必要になることが多いため、地域の商工会・商工会議所に早めに相談することをおすすめします。