補助金で多くの事業者が事故を起こすのが交付決定前の発注です。採択された喜びから設備を急いで発注すると、その費用が補助対象外になることがあります。本記事では、交付決定前の発注が認められない理由と、発注タイミングを管理する方法を整理します。2026年5月時点の主要補助金を参考にしています。
採択通知と交付決定通知は別物
多くの補助金は、申請→採択→交付申請→交付決定→事業実施→実績報告→補助金入金という流れで進みます。採択されただけでは、まだ補助金の支出は確定していません。採択後に追加で交付申請を行い、その内容が事務局で審査されて交付決定通知が発行されて初めて、発注・契約・支払いが補助対象として認められる仕組みです。
交付決定前発注がNGとされる理由
補助金は補助金がなければ実施できない事業を後押しする制度です。すでに発注・契約してしまった事業は、補助金がなくても進める意思があったと見なされ、補助金の趣旨に合わないとされます。さらに、補助対象経費の妥当性チェックも交付決定前審査で行われるため、その前に発注すると審査結果と齟齬が出ることがあります。
不適切な事例
- 採択通知を受け取った日に取引先と発注書を取り交わした
- 申請前に既に手付金を支払っていた
- 納品書・請求書の日付が交付決定日より前になっていた
- 口頭で発注を済ませた後で交付決定通知を待った
発注タイミングを誤ったときの影響
交付決定前に発注した経費は、原則として補助対象外になります。事業全体の中で一部の経費が対象外になった場合、補助金額が減額されることがあります。場合によっては事業計画の前提が崩れ、補助金そのものの取り下げ・返還が必要になるケースもあります。
後でやり直しが効かない
発注日・契約日・納品日が記録に残っていると、後から日付を修正することは原則できません。事業者だけでなく、取引先・銀行・税理士など複数の関係者が記録を持つため、整合性のあるやり直しは困難です。
発注タイミングを管理する方法
発注タイミングを誤らないために、社内で交付決定後に動くルールを定めます。チェックリストとスケジュール表で管理する方法が現実的です。
管理のポイント
- 交付決定通知の控えを保管通知書のPDFを共有フォルダに保管し、社内関係者全員がアクセスできる状態にする
- 発注日の根拠を文書で残す取引先に対して、交付決定通知日以降の見積書・発注書再発行を依頼
- 口頭発注の禁止すべての発注を書面(メール含む)で行う
- 支払い証拠の日付確認銀行振込・領収書の日付が交付決定後になっていることを確認
例外的に認められるケース
一部の補助金では、限定的な例外措置があります。たとえば、事前着手承認制度を活用すると、交付決定前であっても事務局の事前承認を得た上で発注できることがあります。ただし、適用要件・対象経費・申請手続きが厳密に定められており、勝手に発注して後から承認を求めることはできません。
事前着手の主な要件
事前着手申請を補助金事務局に提出し、承認を受けた上で発注に進みます。承認なしの先行発注は補助対象外になります。事前着手の可否は補助金ごとに異なるため、公募要領で確認します。
よくある質問
Q. 採択通知後すぐに発注してはいけないのですか?
原則として交付決定通知が必要です。採択通知は審査結果の連絡で、その後に交付申請を行い、交付決定通知を受け取った後で発注に進む手順になります。
Q. 見積取得は交付決定前でもよいですか?
見積取得は申請書類として必要なため、交付決定前から実施します。発注・契約・支払いが交付決定後である必要があります。
Q. 事前着手承認を受ければ早く動けますか?
事前着手承認制度がある補助金では、事前承認を得ることで交付決定前の発注が認められることがあります。対象要件は公募要領で確認します。
Q. 交付決定後の発注で日付トラブルを防ぐには?
交付決定通知日以降の日付で見積書・発注書・請求書・領収書を再発行してもらう、または書類の日付管理を一覧化することが有効です。
Q. 万一発注を急いでしまった場合、対処方法はありますか?
対象外経費として処理されることが多くなっています。状況次第で事務局に相談できることがありますが、対応はケースバイケースです。