風俗営業|4号許可(パチンコ・雀荘)
4号許可の換気・騒音・照度、
この「3点」を外すと
申請が一気に止まるんです。
「換気と騒音と照度って、書類上どう書けばいいんですか?」——4号許可の準備をされているオーナーさんから、本当によく聞かれる質問なんです。図面と書類だけは何とか揃ったけれど、ここの3点で警察から差戻しが入って、開業予定日に間に合わなくなるパターン、毎年何件もご相談をいただきます。
ところで、この3点って一見テクニカルな話に聞こえるんですが、実は設計の最初に押さえれば防げる事故がほとんどです。後から照明を足す、後から防音壁を入れる、後からダクトを引き直す——どれも工事費が二重にかかります。この記事では、私が4号許可の現場で出会ってきた「ここでつまずく」ポイントを、なるべく会話する感覚でお伝えしていきます。
こんな方に読んでいただきたい記事です
少しだけ整理させてください。次のどれかに当てはまれば、最後まで目を通していただく価値があるはずです。
- パチンコ店・雀荘の4号許可申請を準備中の方
- 換気・騒音・照度の数値基準を、設計の前に押さえておきたい方
- 施工業者から「これで大丈夫」と言われたが、念のため確認したいオーナーの方
- 立入検査で指摘を受けないために、運用後の自主点検手順を整えたい方
- すでに警察から指摘が入っていて、是正方法を検討している方
逆に、まだ業種選定で迷っている方は、先に「雀荘(4号許可)の開業申請実務」を読んでいただいた方が話の流れが掴みやすいはずです。
1. 換気の話、CO₂濃度がキモなんです
まず換気から行きますね。風適法は「善良な風俗・清浄な風俗環境の保持」のために、営業所の構造上の基準を定めていて、4号許可(パチンコ・雀荘)もこの中に入ります。条文だけ読むと抽象的なんですが、現場の運用基準は意外と明確なんです。
ここが大事なんですが、換気の実務的な目安は客室内の二酸化炭素(CO₂)濃度を1,000ppm以下に保つこと。これは建築基準法の特殊建築物の維持保全に準じた考え方で、警察側もこの水準を参考に審査しているんです。パチンコ店や雀荘って、満員時の在室密度が高いです。だからCO₂が一気に上がりやすくて、自然換気だけだとまず追いつかないんです。
| 項目 | 目安 | 運用上のポイント |
|---|---|---|
| CO₂濃度 | 1,000ppm以下 | 満員時を想定した能力で設計 |
| 換気方式 | 機械換気(給気・排気とも機械式) | 自然換気のみは差戻しが多い |
| 換気回数 | 用途・在室人数で都度判断 | 建築基準法0.5回/h以上が最低ライン |
| 図面記載 | ダクトルート・吹出口を明示 | 仕様書を添付 |
申請時は、換気設備のメーカー仕様書(換気量・換気回数)と、平面図上の換気経路を必ず明示してください。よくある事故が、設計段階で「換気扇を付ければいいでしょ」と業者任せにして、ダクトが室内還流していたケースです。これだと外気と入れ替わっていないので、いくら換気扇を回してもCO₂は下がりません。図面上で「給気→室内→排気」のルートが屋外と繋がっているか、ここを必ずチェックしてください。
2. 騒音、外に漏らさないが鉄則です
騒音の話、これも実務で本当によく揉めるんです。風適法は「客室内から周辺に騒音が漏えいしないよう、防音措置を講じる」ことを義務付けています。パチンコ店は遊技台の稼働音・BGM・呼び込みの店内放送があるので、騒音源が複数あるんです。
具体的な数値基準(dB)は都道府県条例で定められていて、これが用途地域・時間帯で異なることがあります。例えば住居系地域に隣接する商業地域だと、夜間(22時以降)の基準が昼間より10dB程度厳しくなっていることが多いんです。「ここなら大丈夫だろう」という感覚値ではなく、申請物件の住所の用途地域と、その地域の騒音基準値(昼間・夜間)を、自治体の環境課で必ず確認してください。
| 業態 | 主な騒音源 | 有効な対策 |
|---|---|---|
| パチンコ・スロット | 遊技台稼働音/BGM/呼び込み | 防音扉/二重サッシ/遮音パネル |
| 雀荘 | 麻雀牌の打音/客の会話 | 防音間仕切り/吸音パネル |
| 共通 | 空調機外気側の運転音 | 室外機の防振・遮音カバー |
申請書類としては、防音措置の概要書や、防音扉・防音壁の仕様書を求められることがあります。私の現場感覚では、雀荘で「薄壁+引き戸のみ」の区画にしていると、ほぼ確実に指摘が入ります。麻雀牌の打音って意外と高音域で抜けるんですよね。隣接テナントとのトラブルを避けるためにも、グラスウール充填+遮音シート貼りといった構造的な防音を、最初から組み込むことをお勧めしています。
3. 照度、4号は「明るさ」を求められる側です
照度の話、ここで混乱される方が多いんですよね。「風俗営業=暗い」というイメージがあるかもしれませんが、それは2号(低照度飲食店)の話で、4号は逆に「著しく低照度にしてはならない」側なんです。基準のラインは、おおむね10ルクス以下を「著しく低照度」とみなす運用です。
パチンコ店・雀荘は、遊技台や卓上の照明が十分にあれば、照度はだいたいクリアできます。問題になりやすいのは次の3パターンです。①雰囲気重視で間接照明を多用したカフェ風の雀荘、②倉庫を改装した広い店舗で天井照明が少ない、③遊技スペースは明るいが、入口・通路の照度が落ち込んでいる。
照度測定の実務手順を書いておきます。営業時の照明をすべて点灯した状態で、床面から85cm(作業面高さ)で測ります。測定点は客室の中央を含む複数点、JIS認定の照度計を使い、測定日時・場所・値を記録します。照度測定記録書の提出を求められるか、図面上の照明設備記載で足りるかは、所轄警察署の運用で異なることがあります。事前相談で必ず確認してください。
4. 申請書類の3点まとめ、これ一覧で見てください
3点それぞれの申請書類を、一覧で並べておきますね。所轄警察署・都道府県によって細かい差異があることがありますので、最終的には事前相談で確定させてください。
| 領域 | 主な提出書類 | つまずきポイント |
|---|---|---|
| 換気 | 仕様書/平面図(換気経路)/換気量計算書 | ダクトの屋外接続が図面上で読めない |
| 騒音 | 防音措置概要書/防音扉・壁仕様書/測定記録 | 用途地域の基準値を確認していない |
| 照度 | 照明配置図/照明器具一覧/照度測定記録書 | 測定高さが床面から85cmになっていない |
| 共通 | 平面図(1/50〜1/100)/求積図/設備位置図 | 図面と現況が一致していない |
ところで、図面と現況の一致は、3点基準のうちどの論点でも審査の基本です。書類提出後に内装変更が入ったら、必ず図面を差し替えてください。標準処理期間55日の途中で図面差し替えが起きると、審査が実質リセットになる可能性があります。
5. 立入検査、許可後の運用の方が長いんです
許可が下りたら終わり——ではないんですよね。許可後の方が、店舗としての時間は長いわけで、3点基準は継続的に満たし続ける義務があります。立入検査で見られる典型的なポイントを整理しておきますね。
換気の運用。換気扇が故障したまま放置されていたり、ダクトのフィルターが目詰まりして換気量が落ちているケース、これ意外と多いんです。月1回のフィルター清掃と、半年に1回の風量実測を、社内ルールとして組み込んでおくのが安全です。
騒音の運用。営業時間中に騒音計で実測されることがあります。当初は基準内だったのに、遊技台の入れ替えで音量が上がった、BGMの音量を上げた、というケースで超過する事例が出ます。設備や運用を変えたら、騒音への影響を必ずチェックしてください。
照度の運用。照明が切れたまま放置・照明カバーが汚れて減衰、これで照度が落ち込みます。遊技機の入れ替えやレイアウト変更のたびに、照度の実測を入れる習慣をつけてください。
是正指導に従わないと、行政処分(営業停止・許可取消)の対象になることがあります。3点基準の自主点検は、月次の運用チェックリストに必ず組み込んでおいてください。安定した営業継続には、ここが効くんです。
現場で実際にあった、3点基準の事故事例
抽象論だと刺さらないので、3つだけ実例ベースで共有しますね(個別情報は加工しています)。ところで、これからお話しする3件はいずれも、設計の最初の段階で気づいていれば防げた事故なんです。
事例1:換気経路が天井裏で循環。新築テナントのパチンコ店で、給気と排気のダクトが天井裏で連結されていた事例です。施工業者が「分かりやすい配管にした」と言っていたんですが、実態は屋外と入れ替わっていない。現地確認立会で警察と消防両方から指摘が入り、ダクト経路の引き直しで2週間遅延しました。図面段階で給排気の屋外接続位置を読み込んでおけば防げた事故です。
事例2:夜間の騒音実測で基準超過。住居系隣接の商業地域で、昼間の騒音は基準内だったものの、夜22時以降の基準が10dB厳しくなっており、開業後の苦情通報で実測したら超過していた事例。防音扉の追加と、外壁の遮音パネル増設で対応しましたが、追加工事費が80万円超。用途地域の時間帯別基準を、契約前に必ず確認すべきだったケースです。
事例3:おしゃれ雀荘で照度不足。間接照明+ペンダントライトで雰囲気を作った雀荘で、現地確認時に客室中央が照度7ルクスだったケース。「著しく低照度」とみなされる水準で、追加照明(ダウンライト6灯)の増設で対応しました。雰囲気を取るか、許可を取るかの選択になります。私の現場感覚では、雀荘は10ルクスを超えてもまだ「明るすぎ」とは言われないので、20ルクス前後を狙うのが安全圏です。
よくある質問
4号許可の換気基準とはどのようなものですか?
客室内の二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保つことが、実務上の目安です。機械換気設備の設置が原則で、自然換気のみだと審査で指摘が入ることが多いです。換気回数の最低ラインは建築基準法の0.5回/hですが、満員時の在室密度を考えると、それ以上の能力で設計しておくのが安全です。都道府県によって細部が異なることがあるので、所轄警察署への事前相談をお勧めします。
4号許可の騒音基準はどのくらいですか?
具体的な数値基準(dB)は都道府県条例で定められていて、用途地域・時間帯によって異なることがあります。住居系隣接の商業地域では夜間基準が昼間より10dB程度厳しいことが多いです。物件契約前に、自治体の環境課で「この住所の用途地域」と「昼間・夜間の騒音基準値」を必ず確認してください。
4号許可で照度基準が問題になるのはどんな場面ですか?
「著しく低照度」(おおむね10ルクス以下)にすると許可が下りないことがあります。問題になりやすいのは、雰囲気重視で間接照明を多用した雀荘、倉庫改装で天井照明が少ない店舗、入口や通路の照度が落ちている店舗の3パターンです。床面から85cmで測って、20ルクス前後を確保しておくと余裕があります。
換気・騒音・照度の3点はどの段階で確認されますか?
申請時の図面審査と、許可後の立入検査の2段階です。申請時は仕様書・図面・測定記録書で確認され、立入時は実機を持ち込んで現場で数値が測られることがあります。立入は予告なく入ることがあるので、運用後の自主点検を月次で回しておくのが鉄則なんです。
換気・騒音・照度の基準を満たせない場合はどうすればよいですか?
換気は機械換気の増設・ダクト経路の引き直し、騒音は防音壁・防音扉・遮音パネルの追加、照度は照明器具の増設で対応します。いずれも工事完了後に再測定して、基準適合を確認してから申請(または再申請)に進んでください。施工業者任せにせず、設計段階で建築士・電気設計士に数値根拠を出してもらうのが安全です。
3点基準の事前相談は誰に頼めばいいですか?
所轄警察署(生活安全課)の事前相談と、建築士・電気設計士の協力が両輪です。行政書士は警察対応と書類作成、建築士・電気設計士は設備の数値根拠を担う、という役割分担になります。私の事務所では、提携の建築士・設備士をご紹介できるケースもあります。
