深夜酒類提供飲食店|クラフトビール
クラフトビール店の深夜酒類届出ポイント|深夜0時以降の営業に必要な手続きを行政書士が解説
「クラフトビール専門店をオープンしたいんですけど、深夜まで開けたいんです。届出って必要です?」――ご相談で本当によくいただくんです。最近クラフトビールの専門店、街中で増えていますよね。樽生をその場で注いで、深夜帯にゆっくり飲んでもらうスタイルが本当に流行っているんです。
ところで、クラフトビール店の届出は「飲食店だから簡単」と思われがちなんですが、現場では3つの注意点があるんです。「照度(明るさ)」「醸造併設の場合の酒税法」「テイスティングの接客と接待の境目」――ここが、他の業態にはない注意点です。今日は、開業前に必ず押さえておいてほしいポイントを、行政書士の目線で整理します。
こんな方のための記事です
- クラフトビール専門店を開業し、深夜0時以降も営業したい方
- 深夜酒類提供飲食店営業届出の必要書類・手続きの流れを知りたい方
- 店舗の設備・照度・構造が届出要件を満たしているか確認したい方
- 醸造所併設型(ブルーパブ)で開業を検討している方
- 風俗営業1号許可が必要なのか深夜酒類届出で足りるのか判断したい方
そもそも届出が必要なケースって?――線引きは「0時」と「店内提供」
まず制度の前提からお伝えしますね。風適法第33条第1項で、「深夜において酒類を提供して飲食させる営業」を行うときは届出が必要、と定められています。ここでいう「深夜」は午前0時から午前6時までの時間帯のことなんです。
クラフトビール店だと、こんなケースで届出が必要になるんですよね。
- 午前0時以降も店内でビールやその他の酒類を提供している
- 深夜0時を超えてカウンターでテイスティング・飲食を続けている
- テイクアウト販売だけでなく、店内のイートインスペースで深夜にも酒類を出している
ところで、よくあるご質問が「うちは23時で閉店だから不要ですよね?」というものなんです。これは原則そのとおり。午前0時前に客を出して完全にクローズするなら届出は不要なケースが多いんです。ですが、ここが大事なんですが、「ラストオーダー23:30、退店は0時過ぎ」のような運用だと、実態としては深夜営業と判断されることがあるんですよ。退店時刻まで含めて0時を超えるかどうか、で線引きしてください。
店舗設備の要件――クラフトビール店で一番つまずくのは「照度」
届出を出すには、店舗の設備が風適法の基準を満たしていないといけないんです。クラフトビール店ではここで意外と引っかかることが多いので、特に大事な4点を整理しますね。
照度(明るさ)――10ルクスのライン
客席の照度は10ルクス以上を保つことが求められます(風適法第32条第1項)。これが大事なんですが、クラフトビール店って雰囲気作りのために照明を落とす設計が多いんですよね。エジソン電球の暖色系、テーブルに小さなランプ、というあの感じです。あれをやりすぎると10ルクスを切ってしまって、「深夜酒類届出では足りない、1号許可が必要」と判断されることがあるんです。内装デザイナーさんに任せきりにすると、開業直前に気づいて照明配置を全部やり直す、という事故が現場であります。設計段階で必ず10ルクスを保てる前提で組んでください。
見通し・区画――「個室っぽい」が注意点
客室は外から見通せる構造が前提なんです。仕切り・パーティション・カーテンで「見通しが利かない」状態を作ると、届出の前提が崩れることがあります。クラフトビール店だと「半個室っぽい仕切り」「カウンター上部の暖簾」「樽を仕切り代わりに使う」などのデザインが流行っていますが、ここは届出受理の段階で確認されるポイントです。
客室面積
客室が1室のみの場合、床面積9.5平方メートル以上を求められることがあります(地域によって異なることがあります)。小規模なクラフトビールスタンドだと面積要件にギリギリかかるケースもあるので、図面段階で確認してください。
騒音・振動――近隣との関係
周辺の生活環境を害する騒音・振動を出さないことが求められます。クラフトビールイベント・DJイベントを定期開催したい場合、音響設備のスペック・防音工事の有無で開業可否が変わることもあるんです。住居が近い物件ほど事前確認が重要ですね。
届出に必要な書類――ここでも平面図が一番手間です
クラフトビール店の届出で必要な書類は、おおむね次のとおりです(地域によって異なることがあります)。
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(法定様式)
- 営業所の平面図(客室・厨房・トイレ・タップ・冷蔵設備の配置、寸法入り)
- 営業所周辺の地図(100〜200m程度の範囲)
- 営業者の住民票の写し(個人の場合・本籍地記載)または登記事項証明書(法人の場合)
- 飲食店営業許可証の写し(保健所発行)
- 賃貸借契約書の写し(賃貸の場合)
ところで、クラフトビール店ならではの注意点が「タップの数・位置」を平面図に書くかどうかなんです。これ、警察への届出では必須ではないんですが、保健所の飲食店営業許可と平面図を共通化しておくと、後で照度測定や立入のときに話が早いんですよね。私の事務所では両方の役所で使える1枚の平面図を最初から準備しています。寸法は壁芯で取って、客席数を数えられる粒度で描いてください。
保健所・消防・税務署――関係役所が4つあるんです
クラフトビール店の開業で困るのが、関わる役所が複数あることです。警察署だけで済まないところが、ほかの業態と違うんです。順番と勘所を整理しますね。
保健所(食品衛生法)――一番最初に動く役所
まず保健所の飲食店営業許可を取ります。深夜酒類届出にはこの許可証の写しが必要なので、結果として保健所→警察の順で動くんです。調理設備・手洗い設備・食品衛生責任者の選任が主な要件ですね。タップ周りの冷蔵庫・配管も検査対象になるので、内装工事中に保健所の事前相談を入れておくと安心です。
消防署(消防法)――内装工事のタイミングで必須
収容人数が30人以上になる場合は、防火管理者選任届・防火対象物使用開始届が必要になることがあります。内装工事をするなら、設計段階で消防署に確認を入れてください。クラフトビール店は躯体現しのデザインが多くて、防火基準と内装デザインの相性が悪いケースがあるんです。ここを後から指摘されると、せっかくの内装がやり直しになります。
税務署(酒税法)――ブルーパブを目指すなら最重要
店内でクラフトビールを醸造して提供する「ブルーパブ」形式の場合、税務署の醸造免許(製造免許)が別途必要なんです。これ、審査が数か月に及ぶことがあって、現場では一番時間がかかる手続きです。「開業1ヶ月前から準備すれば大丈夫」と思っていると間に合いません。物件契約と同時くらいに動き出すのが現実的です。
酒類販売業免許(酒税法)――テイクアウト主体なら必要
店内提供ではなく、未開栓の瓶・缶を持ち帰り販売する場合は「酒類小売業免許」が要ります。クラフトビール店だと「店内で飲める+お土産用に瓶も買える」というハイブリッド型が増えていますが、後者は別の免許なんです。よく一緒に取得することをご相談いただきます。
行政書士への依頼について
クラフトビール店の深夜酒類届出は、平面図の作成・設備の事前確認・保健所との調整など、準備すべき事項が多岐にわたります。特にブルーパブ形式の場合は醸造免許との兼ね合いも複雑になることがあります。
当センターでは全国のお客様の深夜酒類提供飲食店営業届出をオンラインでサポートしております。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(クラフトビール店向け)
- Q1. クラフトビール店は必ず深夜酒類届出が必要ですか?
- 深夜0時(午前0時)以降も酒類を提供して営業する場合に必要です。深夜0時前にクローズする運用なら届出不要なことがあります。ただ「ラストオーダー23:30で退店は0時過ぎ」のような実態だと深夜営業と判断されることがあるので、退店時刻まで含めて確認してください。
- Q2. 届出から受理まで、どのくらいかかりますか?
- 書類に不備がなければ、提出から数日〜2週間程度で受理されることが多いです。地域によって異なることがあるので、開業の3〜4週間前には書類を出せる状態にしておくのが安心ですね。
- Q3. 店内で醸造もしたいんですが(ブルーパブ)、どうしたらいいですか?
- 店内で醸造して提供する場合は、税務署の醸造免許(製造免許)が別途必要なんです。これが本当に時間のかかる手続きで、審査が数か月に及ぶことがあります。物件契約とほぼ同時に税務署相談を始めるくらいの感覚で進めてください。深夜酒類届出は、その後でも間に合います。
- Q4. 客席の照度(明るさ)に基準はありますか?
- はい、客席は10ルクス以上を保つことが求められます(風適法第32条第1項)。クラフトビール店は雰囲気作りで照明を落とすことが多いんですが、10ルクスを切ると1号許可が必要な業態と判断されることがあるんです。ここは設計段階での確認が一番効きます。
- Q5. テイクアウト専門のクラフトビール店なら届出は不要ですか?
- 持ち帰り専門で、店内では一切飲食させない運用なら深夜酒類届出は不要なことがあります。ただし、その代わり酒類小売業免許(税務署)が必要です。「カウンターで試飲だけはOK」みたいな運用にすると、結果的に店内提供と扱われて届出が要ることがあるので、線引きをはっきりさせてください。
- Q6. 1号許可と深夜酒類届出の違いは何ですか?
- 1号許可は「接待」または「低照度(10ルクス未満)」の飲食店に必要なんです。1号は深夜0時を超える営業は原則禁止。一方、深夜酒類届出は接待なし・10ルクス以上を保つ通常の飲食店が深夜営業するための制度です。クラフトビール店は基本的に深夜酒類届出で対応できることが多いんですが、内装の薄暗さで1号扱いになるケースがあるので、照度測定はしっかりやってください。
- Q7. テイスティングで店員が客と一緒に飲むのは、接待になりますか?
- これ、現場で本当によく揉めるところなんです。原則「カウンター越しに説明する」「銘柄の解説をする」程度であれば接待にはなりません。ただ「特定の客と長時間隣に座って一緒に乾杯する」「飲み比べに参加して盛り上げる」となると、形式上は接待と判断されるリスクがあります。店員と客の距離感の運用ルールを最初に決めておくと安心ですね。
- Q8. 開業までに、合計でどのくらい期間を見ておけばいいですか?
- 通常のクラフトビール店(醸造なし)なら、保健所の準備に1〜2週間、警察への届出は10日前提出なので、合計1か月強あればOKです。ブルーパブ(醸造併設)の場合は、税務署の醸造免許審査が数か月かかることがあるので、半年前から動くつもりで予定を立ててください。
