Company Brainの作り方
補助金 AI活用 マーケティング 行政書士
この解説では、AIに会社の情報を正しく理解させるための「基本データ」づくりについて解説している。テンプレートや事業計画書の質を左右しているのは、AIそのものではなく事前に用意した基本データだという考え方が軸になっている。基本データの集め方と、そこから企業ブレインを育てていく流れを紹介している。
「なんでもプロンプト」と基本データ
持続化補助金などで通過実績のあるテンプレートは、「なんでもプロンプト」と呼ぶ仕組みから作られたものが元になっている。画像やデータを差し込む部分は別途ChatGPTやGeminiなどで補っているが、渡している文章そのものはこのプロンプトから生成されている。
一部の人にしか渡していない「スマートプロンプトメーカー」という持続化補助金向けの仕組みもあり、基本データ・参考資料(公募要領)・参考フォーマット・見出し別見本・ルールという構成になっている。指示内容には、審査の観点を意識した事業計画を作ることが含まれている。
この構成の中でもっとも重要なのが基本データである。フォーマットに沿って社長の考えや会社の情報を反映させながら書いていくため、基本データが正確でないと、人の手で文章を書き換える際に情報の抜けや一貫性の欠如が起きやすくなる。
会社ごとに書けることを引き出す
基本データという「脳」を仕組みの中に設置することで、その会社にしか書けない内容が事業計画書に反映されるようになる。造園業の事業計画書を例に挙げ、フォーマット自体は他の案件と似ていても、中身はその会社固有の内容になっていることが説明されている。
反映される内容の多くは、打ち合わせの中で話した内容がもとになっている。話した内容をAIがまとめて拾い上げてくれることで、担当者と社長の会話がそのまま事業計画に反映される形になる。
今回のケースでは基本データの多くがミーティングの記録から作られていたが、ホームページから情報を拾うなど、集め方は案件によって変わるとのことだった。
企業ブレインの原則
「企業理解OS」というフレームワークの仕様には、企業ブレイン・ワーキングメモリ・企業モデル・知識テンプレートといった要素と、長期記憶・短期記憶の区別が組み込まれている。基本となる原則として、次のようなものが挙げられている。
- 企業理解は情報ではなく関係性としてとらえる
- AIは推測を事実として保存しない
- すべての重要知識に根拠を持たせる
- 情報ではなく理解を保存する
- 質問は理解を深めるために行い、終了条件を目的別に定義する
- 企業ブレインは完成ではなく成熟していくもの
- 理想設定と実装方法は分離する
- 企業ブレインの目的は保存ではなく再現である
補助金申請の重要なポイントを尋ねると、GBizIDの取得のような一般的な回答が返ってくることが多いが、それは目的ではないとし、目的に応じた質問・回答を重視する姿勢が語られている。
作り方の進め方
仕様の中身は、頭の中にある考えをAIに話し、AIが理解した内容を確認しながらすり合わせていくというやりとりで組み立てられている。「この理解で合っていますか」「実際にそれはできますか」といった対話を重ねながら、処理エンジンや全体フローを詰めていったという。
目指しているのは、企業ブレインに聞けば何でも分かる状態であり、社長の右腕というよりも、社長の考え方そのものをコピーしたような状態に近づけることだとしている。ただし感情の部分は複雑で単純には切り分けられないため、AIに任せきるのではなく、そこは人間が判断していく前提になっている。基本データを作る範囲では、この感情の部分の影響はそれほど大きくないとのことだった。
情報をどこから集めているか
基本データが整えば、会社案内・パンフレット・規定・事業計画書・ホームページ・ブログ・SNS・動画・セミナーなど、幅広い用途に展開できるとしている。一方でメールマガジンは今も手で書いており、AIには書かせていない。理由は、AIが自分のブレインをまだ十分に知らないため、同じ話を繰り返してしまいやすい点にあるという。
情報の収集元としては、次のようなものが挙げられている。
- CloudSkillという、自社情報や会話データをまとめているフォルダ
- Google Meetの文字起こし(Geminiメモ経由で自動取得。Zoomは連携が難しく、MCPが増えるとトークン消費も大きくなるため見送っている)
- 独自ツール「Flengo」経由のメールマガジン抽出
- 自社サイト(fp1.info、サブドメイン込みで約800ページ)からの情報抽出ツール
- 自社サイトのまとめ記事、勉強会の文字起こし
- Vimeoにアップした動画の自動文字起こし(Claude CodeのMCP連携経由)
- Notionに保存している情報
チャットでのやりとりから本人確認情報を拾う仕組みも取り入れており、「中小企業支援歴26年」を「行政書士歴26年」と誤って記憶していたケースを修正した例も紹介されている。
Company Brainの成果物
これらの情報をまとめた「Company Brainの成果物」には、会社概要・代表者・経営陣・沿革といった基本情報が集約される。これをナレッジとして持たせたうえで、補助金申請であれば設備の内容や価格など案件ごとに必要なデータを別途加えることで、会社の強み・弱み・顧客・理念なども反映された、基本データよりも一段階ブラッシュアップされた内容に仕上がるとしている。
事業計画書は審査官に「NO」と言われないことが目的になりがちだが、集客やマーケティングに使う場合はお客さん側の納得感が必要になるため、基本データの精度がより重要になるという位置づけで説明されている。
基本データという考え方の背景
基本データを重視する考え方自体は、AIを使う以前からLPやウェビナーを作る際に行っていたものだという。商品や顧客の期待・不満・思い込みなどをフレームワークで整理してから制作に入るという流れが元になっており、AIが使えるようになって一発で形になるようになった一方、基本データが伴わないと「見た目はきれいだが反応しない」ものになりやすいと述べている。
この仕組み自体も、今後はAIの進歩に合わせてブラッシュアップされていく見込みで、現時点ではFable5を使って作業を進めているとのことだった。