多様な働き方推進支援助成金の活用ガイド

近年、働き方が多様化する中で、特にテレワークの導入を検討する企業が増えています。しかし、テレワークを始めるためには、必要な機器や環境を整えるための初期費用がかかることが、企業にとっての課題となっています。そこで、企業の負担を軽減するために設けられているのが「多様な働き方推進支援助成金」です。この助成金を活用すれば、テレワーク環境整備にかかる費用の一部を補助してもらうことができ、スムーズにテレワークを導入することが可能です。この記事では、この助成金の内容や申請方法について、詳しく解説していきます。


1. 助成金の概要

多様な働き方推進支援助成金は、中小企業や個人事業主がテレワーク環境を整える際に、その導入費用を一部補助する制度です。この助成金の目的は、従業員がより柔軟で快適に働ける環境を整備するために、企業が負担する初期費用を支援し、ワークライフバランスを促進することにあります。

具体的には、パソコンやタブレットなどの情報通信機器の導入費用、コワーキングスペースの借上げ費用などが対象です。助成金の上限額は200万円で、助成率は対象経費の2分の1となっており、企業は半分のコスト負担でテレワーク環境を整えることができます。

以下に、助成金の概要を表にまとめました。

項目詳細
対象事業者兵庫県内で事業を行う中小企業または個人事業主
対象条件「ひょうご仕事と生活の調和推進企業宣言」を行っていること、常時雇用する従業員が300人以下
助成対象経費パソコン、タブレット、通信機器のリースや購入、テレワーク環境整備のための初期費用
助成上限額200万円
助成率対象経費の2分の1

この助成金は、働き方改革の一環として、中小企業が積極的にテレワークを導入できるように支援するものです。導入する機器やサービスにかかる費用の半分が補助されるため、企業にとっては非常に魅力的な制度です。

※ひょうご仕事と生活の調和推進企業宣言とは?


2. 助成対象となる事業内容

この助成金の対象となる事業には、主に次の2つがあります。

2.1 テレワーク導入支援

テレワーク導入支援では、企業が従業員のために初めてテレワークを実施する際に必要な機器やシステムの整備費用が対象となります。具体的には、パソコンやタブレット、プリンター、通信機器などのリースや購入費用が助成されます。また、これらの機器を設定するための初期費用やソフトウェア(セキュリティソフトなど)の導入費用も助成対象です。ただし、すでにテレワークを導入している従業員向けの機器や、スマートフォン、消耗品(プリンターインクなど)は対象外です。

2.2 コワーキングスペースの借上げ

企業が従業員のテレワーク環境を整えるためにコワーキングスペースを新たに借り上げる場合、その費用も助成されます。この助成は、企業が従業員専用にコワーキングスペースを借りる場合に限られ、最長6か月分の借上げ料が対象となります。ただし、マンションの一室や通常の賃貸物件を借りる場合は助成の対象外となります。

事業内容詳細
テレワーク導入支援従業員が初めてテレワークを行うための機器(パソコン、タブレット、プリンター、通信機器など)のリースや購入
コワーキングスペースの借上企業が従業員専用に借りるコワーキングスペースの費用(最長6か月分まで助成)

テレワーク導入を検討している企業は、この助成金を活用することで、初期投資の負担を大幅に軽減できます。また、コワーキングスペースを利用することで、オフィス以外の柔軟な働き方を提供できるようになります。


3. 助成金申請の手順

助成金を申請するには、いくつかの手順を踏む必要があります。以下に、その流れをまとめました。

ステップ内容
事前相談申請前に、ひょうご仕事と生活センターに事前相談を行い、ICTアドバイザーのヒアリングを受ける
書類提出必要な書類を揃えて郵送で提出。提出期限は、着手予定日の2週間前まで
実績報告書の提出テレワーク導入後30日以内、または年度末までに実績報告書を提出。導入した機器の写真や領収書も必要
助成金の支給実績報告書の確認後、1〜3か月以内に指定の口座へ助成金が振り込まれる

3.1 事前相談

助成金の申請前には、必ずひょうご仕事と生活センターに事前相談を行う必要があります。この相談は、企業がどのような形でテレワークを導入するか、どんな機器を使用するかなどを確認するためのものです。特にモバイル勤務や遠隔支援用のカメラを導入する場合には、センターのICTアドバイザーによるヒアリングが必須です。この事前相談を受けていない場合、助成金の申請はできないので、注意が必要です。

3.2 申請書類の提出

事前相談が終わったら、申請書類を揃えて郵送で提出します。提出期限は、テレワーク開始予定日の2週間前までです。書類には、テレワーク導入型支給申請書や、事業の具体的内容を説明する書類、対象経費の見積書、テレワーク勤務者のリストなどが含まれます。これらの書類が全て揃い、内容に不備がないことが確認された時点で正式に受理されます。

3.3 実績報告と支給決定

テレワーク導入が完了した後、30日以内または年度末までに、実績報告書を提出します。実績報告書には、導入した機器の写真や領収書などが必要で、これらの内容が確認され次第、助成金が支給されます。支給は通常、報告書の受理から1〜3か月以内に振り込まれます。

実績報告の内容が不十分だったり、報告が遅れたりすると、支給が取り消される可能性もあるので、スケジュール管理が重要です。


4. 提出書類一覧

助成金申請には、以下の書類が必要です。

必要書類説明
テレワーク導入型支給申請書(様式第1号)助成金の申請に必要な主な書類
事業所一覧申請企業の概要を示す書類
事業の具体的内容テレワーク環境整備の詳細や対象経費の内訳を示す書類
テレワーク実施対象者一覧テレワークを行う従業員のリスト
就業規則(テレワーク勤務に関する規定を含む)テレワーク勤務に関するルールを定めた就業規則の写し。労働基準監督署への届出済であることが必要

提出書類には、企業の組織図やシステム構成図、経費の見積書などの添付書類も必要です。これらの書類が全て正確に揃っていることが確認されないと、申請が受理されません。また、不備がある場合には、電話などで確認されることがあります。


5. 補足:提出書類

5.1 テレワーク勤務について定めた就業規則等(写)

テレワークは、従業員がオフィスに出勤せず、自宅やサテライトオフィス、カフェなどで仕事を行う働き方です。これにより、従業員の柔軟な働き方が可能となりますが、同時に労働条件や勤務管理の課題が浮き彫りになります。そのため、テレワーク勤務における適切なルールの整備は、企業の法令遵守や従業員の生産性向上に不可欠です。以下のテンプレートを添付します。あくまでモデルなので、御社に合わせて活用または、専門家のアドバイスを受けて使用してください。

5-2. テレワーク規定モデルテンプレートはこちら