創業初年度に申請できる補助金はあるか?注意点まとめ
「開業したばかりでも補助金を申請できるのか?」という質問はよくいただきます。結論から言うと、創業初年度でも申請できる制度は存在します。ただし、制度によって「開業後何か月以上」「確定申告書が必要」など条件が異なるため、自社の状況に合った制度を選ぶことが重要です。
創業期の経営者が補助金に期待する場面は多くあります。店舗の内装費、Webサイト制作費、機械・設備の購入費、広告宣伝費など、開業と同時に大きな支出が発生するからです。しかし、多くの補助金は「直近の確定申告書・決算書の提出」を要件としており、創業初年度ではこれを用意できないことがあります。
この記事では、創業間もない事業者でも申請を検討できる制度を整理します。また、申請にあたって特に気をつけたいポイントもあわせてお伝えします。
創業初年度でも申請を検討できる補助金・助成金
以下に挙げる制度は、創業初年度でも申請を検討できる可能性があるものです。ただし、公募回・年度・都道府県・市区町村によって要件が変わることがあります。申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。
小規模事業者持続化補助金(一般枠・創業枠)
商工会・商工会議所が窓口になる補助金で、販路開拓・集客対策・Webサイト整備などを支援します。補助率は原則2/3で、補助上限額は申請枠によって異なります。
一般枠では、開業後間もない事業者でも申請できることがあります。また、特定創業支援等事業による支援を受けた者が対象になる「創業枠」(補助上限200万円程度・補助率2/3)が設けられている公募回もあります。創業枠を使うには、市区町村が実施する「特定創業支援等事業」の支援を受けたことの証明書類が必要になることがあります。
中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」の最新公募要領は、中小企業庁ウェブサイトで確認できます。
IT導入補助金
業務効率化・デジタル化のためのITツール(会計ソフト・予約システム・EC基盤等)の導入費用を補助する制度です。法人・個人事業主を問わず申請できることが多く、創業間もない事業者でも申請を検討できる場合があります。
ただし、gBizIDプライムアカウントの取得(法人番号・個人事業主の場合はマイナンバーカード等が必要)や、登録されたITベンダーのツールの中から選ぶ必要があるなど、手続きの準備に時間がかかることがあります。公募スケジュールは年複数回設けられることがあります。
各都道府県・市区町村の創業支援補助金
国の補助金とは別に、都道府県や市区町村が独自に設けている創業支援補助金があります。東京都の「創業助成金」(公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施)や、各地の中小企業支援センターが窓口になる創業補助制度がその例です。
地域によって内容・金額・要件が異なることがあります。居住地・開業予定地の都道府県・市区町村の産業振興担当窓口、または商工会・商工会議所に問い合わせることで、地域の制度情報を入手できることがあります。
厚生労働省の雇用関連助成金(創業時から使えるもの)
従業員を雇用する場合、厚生労働省が管轄する雇用関連の助成金が申請できることがあります。代表的なのは以下の制度です。
- キャリアアップ助成金(正社員化コース) パート・契約社員を正社員に転換した場合に支給。創業時から雇用保険に加入して就業規則を整備していれば、創業間もない時期でも申請できることがあります。
- トライアル雇用助成金 職業経験が少ない求職者等をハローワーク経由で試行的に雇用した場合に支給。創業間もない企業でも申請できる場合があります。
- 人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース) 評価制度・研修制度・健康づくり制度等を整備した場合に支給。創業時から制度を整えている企業が対象になることがあります。
雇用関連の助成金の詳細は、厚生労働省「雇用関係助成金」(厚生労働省ウェブサイト)で確認できます。
創業初年度が申請しにくい補助金とその理由
創業間もない事業者が申請を検討しにくい補助金として、ものづくり補助金が代表的です。ものづくり補助金は直近の確定申告書(または法人税申告書)の提出が必要になることが多く、まだ1期分の決算を終えていない事業者では必要書類を用意できないことがあります。
| 制度名 | 創業初年度の申請可否 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 可能なことがある | 商工会等への加入・相談が必要なことがある |
| IT導入補助金 | 可能なことがある | gBizIDの取得・登録ITツールの選定が必要 |
| ものづくり補助金 | 難しいことが多い | 確定申告書・決算書の提出が求められることがある |
| 都道府県・市区町村の創業補助金 | 対象になることが多い | 居住地・開業地の自治体ごとに要件が異なる |
| 雇用関連助成金(厚労省) | 可能なことがある | 雇用保険加入・就業規則整備が前提になることがある |
創業期の補助金申請で押さえたいポイント
ポイント1:「特定創業支援等事業」の支援を受けておく
市区町村が実施する「特定創業支援等事業」は、商工会・商工会議所・金融機関・民間の創業支援機関が認定を受けて行う創業支援プログラムです。この支援を受けると証明書が発行され、持続化補助金の創業枠など一部の補助金で有利に働くことがあります。また、登録免許税の軽減(会社設立時)や日本政策金融公庫の創業融資での自己資金要件の緩和が受けられることがあります。
特定創業支援等事業の窓口は市区町村の産業振興課や商工担当窓口です。開業前・開業直後に相談することをおすすめします。
ポイント2:補助金の「先払い」に備えた資金の確保
補助金は後払い(精算払い)が基本です。設備購入・広告費・内装工事などを先に自己資金で支払い、後から補助金が入金されます。創業間もない時期は手元資金が少ないことが多いため、「補助金が採択されたから大丈夫」と考えて先走ると、支払いが先行して資金繰りが詰まることがあります。
補助金申請と並行して、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」など創業期向けの融資制度を確認しておくことをおすすめします。融資の申し込みには一定の準備期間が必要なため、早めに動くことが重要です。
ポイント3:申請前に必ず公募要領の最新版を確認する
補助金の要件・補助額・申請期間は年度や公募回によって変わることがあります。ネット上に残っている古い情報を参考にして申請を準備した結果、要件が変わっていて対象外だったというケースが実際にあります。申請前は必ず中小企業庁のウェブサイトや各制度の公式ページで最新の公募要領を確認してください。
- 商工会・商工会議所(補助金相談・持続化補助金の申請支援)
- よろず支援拠点(中小企業支援センター・無料で経営相談できる)
- 日本政策金融公庫(創業融資の相談・制度情報の提供)
- 市区町村の産業振興課(地域の創業支援補助金・特定創業支援等事業の紹介)
- 認定支援機関(税理士・行政書士・中小企業診断士等・補助金申請の伴走支援)
よくある質問
制度によっては創業初年度でも申請できるものがあります。小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金・特定創業支援等事業による支援を受けた場合の創業枠などが代表例です。ただし、確定申告書や決算書の提出を求める制度では、開業後1期以上経過していることが要件になることがあります。
ものづくり補助金は直近の確定申告書等の提出が求められるため、創業初年度(まだ確定申告書がない状態)では申請が難しい場合があります。ただし、公募回によって創業者向けの特例が設けられることがあるため、最新の公募要領を確認することをおすすめします。
「創業補助金」という名称の制度は2020年度以降は国の制度として常設されていませんが、都道府県・市区町村が独自に設けている創業支援補助金が各地にあります。小規模事業者持続化補助金は、主に既存の小規模事業者の販路開拓を支援する制度で、創業初年度でも条件次第で申請できることがあります。
東京都の創業助成金は、東京都内での創業を予定している方や創業後5年未満の事業者が対象になることがあります(年度によって要件が変わることがあります)。特定創業支援等事業による支援を受けていることが要件のひとつになる場合があります。最新情報は公益財団法人東京都中小企業振興公社のウェブサイトで確認してください。
まずは地域の商工会・商工会議所、または最寄りの中小企業支援センター(よろず支援拠点)への相談をおすすめします。創業者向けの補助金・助成金情報を提供しているほか、申請書の作成支援も受けられることがあります。日本政策金融公庫では創業融資と合わせた相談も可能です。
Well Consultant合同会社代表。行政書士として補助金申請支援に特化した実務を展開。中小企業庁認定の経営革新等支援機関として、ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金など主要補助金の申請書作成から採択後フォローまでを一貫してサポート。補助金採択件数157件・採択総額26億円超の実績をもとに、補助金コンサルとして独立・継続するためのノウハウを発信しています。
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