事業計画書の数値は、ただ書けばよいわけではなく、なぜその数字になるかの根拠とセットで提示する必要があります。本記事では、補助金審査で評価される数値根拠の組み立て方を、市場規模・営業計画・生産能力の3つの観点で整理します。
数値計画は結果と根拠の2層で書く
事業計画書の数値計画は、結果の数字(売上・付加価値額・利益など)だけを並べても評価されません。なぜその数字になるのかを裏付ける根拠(市場規模・顧客数・単価・成長率など)が必要です。結果と根拠を2層で示すと、計画の説得力が高まります。
根拠1:市場規模からの組み立て
業界全体の市場規模を出発点に、自社が獲得できるシェアを掛け合わせる方法です。経済産業省・中小企業庁・業界団体の統計データから市場規模を引用します。
計算例
市場規模1,000億円×自社シェア目標0.1%=1億円。このうち、設備投資効果で達成可能な部分を具体化します。シェアの根拠(既存実績、競合状況、新規参入の制約など)も併記します。
根拠2:営業計画からの積み上げ
具体的な営業活動から売上を積み上げる方法です。新規顧客の見込み件数・既存顧客のリピート率・商談からの成約率などを根拠にします。
営業計画からの積み上げ例
- 新規問合せ月◯件×成約率◯%=月◯件成約
- 月◯件成約×平均単価◯円=月売上◯万円
- 月売上×12か月=年売上
- リピート率◯%×既存顧客◯件=既存顧客売上
営業計画は実行可能性が問われます。営業担当者の数・営業エリア・商材の特性などを併記すると、現実的な計画として受け取られやすくなります。
根拠3:生産能力からの設備投資効果
設備投資型の補助金(ものづくり補助金・省力化補助金など)では、設備導入による生産能力増加を起点にする方法が効果的です。生産能力◯倍・処理時間◯%短縮・不良率◯%削減といった数字を、設備仕様・工程改善計画から導きます。
計算例
現状:1日100個生産×単価1,000円×稼働250日=年商2,500万円
設備導入後:1日200個生産×単価1,000円×稼働250日=年商5,000万円
設備投資効果:年商+2,500万円
稼働率・歩留まり・販売可能数の上限も併記し、実現性を補強します。
数値の整合性チェック
事業計画書全体で数字の整合性が取れていることが大切です。よくある齟齬の例は次のとおりです。
- 売上が増えるのに、人員・原材料費が増えていない
- 付加価値額の伸びが、業界平均から大きく乖離
- 市場規模が小さいのに、シェアが現実離れした水準
- 設備能力の上限を超えた売上計画
計画書全体の数字を一覧表にして、整合性を社内・税理士・認定支援機関で確認すると、提出前の見直しがしやすくなります。
よくある質問
Q. 市場規模のデータはどこから引用すればよいですか?
経済産業省・中小企業庁・総務省統計局・業界団体・矢野経済研究所・帝国データバンクなどが代表的な出典です。事業計画書には引用元を明示します。
Q. 数字が現実離れしないようにする目安はありますか?
業界平均成長率・自社の過去実績を参考に、現実的な伸びの範囲で組み立てます。極端な成長計画は逆に不採択要因になることがあります。
Q. 売上以外に重視される数字は何ですか?
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)・経常利益・労働生産性などが重視されます。補助金により求められる指標が異なります。
Q. 数値計画は何年分必要ですか?
補助事業終了年度を含めて3〜5年程度を求められることが多くなっています。詳細は公募要領で確認します。
Q. 達成できなかった場合はどうなりますか?
補助金によっては、目標未達時に補助金の一部返還が求められることがあります。多くの場合、努力義務として扱われますが、賃上げ枠などでは厳密に運用されることがあります。