経営革新計画と補助金の関係|認定を取るメリット
「経営革新計画という言葉は聞いたことがあるが、補助金と何の関係があるのかわからない」という声をいただくことがあります。経営革新計画の認定は、補助金申請での加点・補助率の優遇・低利融資の利用など、複数のメリットにつながることがあります。この記事では、経営革新計画の基本から、補助金との具体的な関係・認定を取るメリットまでを整理してお伝えします。
経営革新計画は、中小企業等経営強化法に基づく制度で、新たな事業活動や市場の開拓など、自社の経営革新に取り組む計画を都道府県知事(または国)に申請し、承認(認定)を受ける仕組みです。
この制度は1999年の中小企業経営革新支援法(現・中小企業等経営強化法)の制定以降、多くの中小企業・個人事業主が活用してきました。経済産業省・中小企業庁の公式ページ(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/index.html)でも詳細を確認できます。
経営革新計画の認定を受けることで、補助金申請での加点・補助率の引き上げ・低利融資の対象になることがあります。ただし、優遇の内容は制度・公募回によって変わることがあるため、申請前に必ず最新の公募要領や関係機関の情報を確認してください。
経営革新計画とはどのような制度か
経営革新の定義と対象となる取り組み
中小企業等経営強化法では、「経営革新」を「事業者が新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義しています。具体的には以下の4つの類型が対象になることが多いです。
- 新商品の開発または生産 自社にとって新しい製品・商品の開発・生産に取り組むもの。既存商品の改良で、市場において新規性が認められるものも対象になることがあります。
- 新役務(サービス)の開発または提供 新しいサービスの開発・提供に取り組むもの。ITを活用した新サービスや、既存業種における新たなサービス形態なども含まれることがあります。
- 商品の新たな生産または販売の方式の導入 製造工程の見直し、新たな販売チャネルの開拓、EC販売への参入など、生産・販売の方法を大きく変える取り組みが含まれます。
- 役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動 サービス提供の仕組みを変える取り組みや、上記に当てはまらない新たな事業活動も含まれることがあります。
いずれの類型においても、「自社にとって新しい取り組みであること」と「経営の向上が見込まれること(目標値の設定)」が基本的な要件です。計画期間は3〜5年で、計画終了時点での付加価値額または経常利益の伸び率目標を設定します。
経営革新計画の申請・認定の流れ
経営革新計画の認定を受けるための大まかな流れは次の通りです。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 事前相談 | 都道府県窓口・商工会議所・よろず支援拠点等に相談 | 計画の方向性と申請要件を確認する |
| 計画書作成 | 経営革新計画書を所定の様式に沿って作成 | 目標値・実施内容・スケジュールを具体的に記載 |
| 申請書類の準備 | 登記事項証明書・決算書・確認申請書等を準備 | 必要書類は都道府県により異なることがある |
| 申請・審査 | 都道府県に申請書類を提出・審査 | 審査期間は目安として1〜2か月程度のことがある |
| 承認・認定 | 都道府県知事から承認書が交付される | 承認後、各種支援策の利用が可能になる |
経営革新計画の認定を取るメリット
経営革新計画の認定を受けることで利用できる可能性がある支援策を整理します。制度・地域によって内容が異なることがあるため、各関係機関で最新情報を確認してください。
ものづくり補助金など一部の補助金では、経営革新計画の承認を受けていることが審査上の加点要素のひとつとなることがあります。加点の有無・程度は公募回ごとに変わります。
日本政策金融公庫の「経営革新計画承認企業向け融資」として、通常より低い金利で融資を受けられる可能性があります。設備投資・運転資金の両方に対応していることがあります。
信用保証協会による保証枠の拡大・保証料率の優遇を受けられることがあります。融資を受けやすくなることで、資金調達の選択肢が広がることがあります。
都道府県によって、補助金の加算・専門家派遣の優先・PR支援など、独自の支援策が設けられていることがあります。管轄の都道府県窓口に確認することをおすすめします。
経営革新計画の認定自体が補助金の採択を保証するものではありませんが、複数の支援策を組み合わせて活用できる可能性が広がる点が最大のメリットです。特に、補助金申請と経営革新計画の申請を並行して進めることで、事業計画を深掘りする機会にもなります。
補助金との組み合わせで何が変わるか
ものづくり補助金との組み合わせ
ものづくり補助金の公募要領では、「経営革新計画の承認を受けた事業者」が加点項目として設定されていることがあります。加点の存在が、採択の可否に影響することがあります。ものづくり補助金の最新の公募要領は、中小企業庁のポータルサイト(https://jgrants-portal.go.jp/)で確認できます。
なお、経営革新計画の計画期間と、補助金で取り組む事業の内容が連動している場合、申請書のストーリーが一貫しやすくなります。「都道府県から認定を受けた経営革新の取り組みを、ものづくり補助金を活用してさらに加速させる」という構成は、審査上説得力を持ちやすいとされています。
小規模事業者持続化補助金との組み合わせ
小規模事業者持続化補助金でも、一部の公募回において経営革新計画の承認が加点項目となることがあります。販路開拓・集客強化の計画と経営革新計画の内容が重なる場合、同時並行で準備することも現実的な選択肢のひとつです。
融資と補助金を組み合わせた資金計画
補助金は後払い制のため、先に自己資金で費用を立て替える必要があります。経営革新計画の認定があれば、日本政策金融公庫の優遇融資(https://www.jfc.go.jp/)を活用して、補助金入金前の資金を融資でカバーするという組み合わせが考えられます。補助金と融資を組み合わせることで、資金繰りのギャップを小さくできることがあります。
経営革新計画を作る際の注意点
- 目標値の設定が重要 経営革新計画では、計画期間終了時の付加価値額または経常利益の伸び率目標を必ず設定します。目標値が低すぎると承認されないことがあり、高すぎると実現可能性を問われることがあります。現実的かつ意欲的な数値を設定することが重要です。
- 「新規性」の説明が求められる 経営革新計画で取り組む内容が「自社にとって新しい取り組みであること」を明確に説明する必要があります。既存業務の延長に近い場合、審査で新規性が認められないケースがあります。
- 計画の実現可能性を示す必要がある 「なぜこの取り組みが実現できるか」を、自社のリソース・技術力・市場環境などの観点から説明する必要があります。根拠のない楽観的な計画は、審査で指摘を受けることがあります。
- 都道府県によって審査の厳しさが異なることがある 経営革新計画の審査は都道府県が行うため、審査の時間・要求水準が異なることがあります。申請前に管轄の都道府県窓口に相談し、審査のポイントを確認することをおすすめします。
経営革新計画の認定を検討すべきタイミング
経営革新計画の認定を検討する価値があるのは、次のような状況のときです。
まず、ものづくり補助金など補助金申請を計画していて、加点を増やしたいと考えているときです。加点項目のひとつとして機能することがあるため、申請の準備期間に余裕があれば同時並行で計画を進めることが選択肢になります。
次に、金融機関からの融資と組み合わせて投資を計画しているときです。経営革新計画の認定があると、日本政策金融公庫の優遇融資の対象になることがあり、資金調達の条件が改善されることがあります。
また、自社の事業の方向性を整理したいと考えているときも有効です。経営革新計画の作成プロセス自体が、現状の課題・強み・目標を整理する機会になります。外部の視点(都道府県の審査・支援機関のアドバイス)を得ながら計画を磨くことは、事業の質を高めることにもつながります。
- 管轄の都道府県窓口(商工労働局等)に連絡し、申請要件・必要書類・審査スケジュールを確認する
- 商工会議所・商工会・よろず支援拠点など無料相談を利用して計画の方向性を確認する
- 同時に申請を検討している補助金の公募要領で「経営革新計画」の加点有無を確認する
- 認定後に活用する予定の融資(日本政策金融公庫等)の要件を事前に確認する
よくある質問
補助金の種類によっては、経営革新計画の認定を受けた事業者を加点対象としているものがあります。ものづくり補助金では「経営革新計画の承認を受けた事業者」が加点要素のひとつとなっていることがあります。ただし加点の有無・程度は公募回ごとに変わることがあるため、最新の公募要領を確認することをおすすめします。
経営革新計画は、原則として本社所在地の都道府県知事に申請します。申請窓口は都道府県の産業振興部門(商工労働局等)になることが多く、商工会議所・商工会・よろず支援拠点なども相談窓口として機能しています。申請前に管轄の窓口に相談することをおすすめします。
必要書類は都道府県によって異なることがあります。一般的には、経営革新計画書(様式に記載した計画内容)、会社の登記事項証明書、直近2〜3期分の決算書、確認申請書などが必要とされることが多いです。申請前に管轄の都道府県窓口に確認することをおすすめします。
経営革新計画の計画期間は、法律上3〜5年の範囲内で設定します。認定後は計画期間中に定期的なフォローアップが行われることがあります。計画期間の終了後も、新たな経営革新計画を申請して継続的に取り組む事業者もいます。
はい、個人事業主も経営革新計画の認定申請が可能です。ただし、中小企業等経営強化法上の「中小企業者」に該当することが条件のひとつとなります。業種によって従業員数・資本金の基準が異なることがあるため、申請前に確認することをおすすめします。
Well Consultant合同会社代表。行政書士として補助金申請支援に特化した実務を展開。中小企業庁認定の経営革新等支援機関として、ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金など主要補助金の申請書作成から採択後フォローまでを一貫してサポート。補助金採択件数157件・採択総額26億円超の実績をもとに、補助金コンサルとして独立・継続するためのノウハウを発信しています。
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