業種カテゴリ|風俗営業1号(接待飲食)
スナックの1号許可申請はどう進める?
開業までの流れと必要書類17点を、
行政書士が実務目線で解説します。
「ママが隣に座って話し相手をするスナックを始めたい。深夜酒類届出と1号許可、どっちで出せばいい?」――このご相談、本当に多いんですよ。ところで、ご自身で深夜酒類届出だけで出そうとしている方も、よくいらっしゃるんです。
結論からお伝えすると、客の隣で会話のお相手をする時点で「接待」にあたり、1号許可が必須。深夜酒類届出だけで営業を始めると、無許可営業として風適法第49条で罰せられることがあるんですよね。
今日は、スナック開業に必要な書類17点・申請の流れ・開業3か月前から逆算するスケジュールを、実際にあったご相談事例とあわせてお話しします。
こんな方のための記事です
- これからスナック・カラオケスナック・ラウンジスナックを新規開業したい方
- 深夜酒類届出と1号許可の判断に迷っている方
- 知人から店舗を譲り受けて、スナック営業を始めようとしている方
- 現在「飲み屋」として営業していて、接待行為を始めたい方
- 物件契約は済ませたが申請の進め方が分からない方
- 標準処理55日の段取りを把握して開業日を確定させたい方
スナックは1号許可と深夜酒類届出のどちらが必要?業態判定の3ポイント
最初に押さえていただきたいのが業態判定です。スナック営業の許可は「1号許可」か「深夜酒類提供飲食店営業届出」のどちらかになるんですが、これは店主の希望ではなく営業実態で決まります。「うちはママが座らない、お酒だけ出すから深夜届出でOK」と思っていらっしゃっても、開店後にママが隣に座って話し始めれば、それは1号許可の領域です。
判定は3ポイント。すべて『はい』なら1号許可、すべて『いいえ』なら深夜酒類届出です。
1点目は接待行為の有無。客の隣に座って酌をしたり継続的に会話のお相手をしたり、カラオケでデュエットしたりすると『接待』に該当します。2点目は客との対面性。カウンター越しに注文を受けるだけなら接待ではありませんが、ボックス席で長時間会話する形態は接待寄りです。3点目は営業時間。0時を超えて酒類を提供するなら深夜酒類届出もポイントに上がります。
実務上は『接待行為あり+深夜営業あり』のスナックが多いですが、この場合は1号許可で営業時間が0時までに制限されます。深夜酒類届出と1号許可は同時に持てません(接待行為は深夜帯に禁止)。
| 項目 | 1号許可 | 深夜酒類届出 |
|---|---|---|
| 接待行為 | 可 | 禁止 |
| 営業時間 | 原則0時まで | 0時超えて可 |
| 手数料 | 24,000円 | 9,600円程度 |
| 標準処理期間 | 55日 | 10日(受理) |
過去のご相談で多かったのが、「うちは深夜に営業したいから深夜届出で出したい」という方が、実は接待行為もある運用だったケース。これは深夜届出だけで進めると無許可営業になるので、1号許可で出した上で営業時間を0時までにする方が安全です。
判断に迷ったら所轄警察署生活安全課保安係に事前相談を。営業実態を口頭で説明すれば、どちらの手続きが必要か助言してもらえます。
スナック開業の必要書類は何点ある?6カテゴリ・17点の全体像
1号許可で開業する場合、必要書類は個人申請で17点。実務でつまずく箇所が多いカテゴリでもあるので、最初に全体像を見せておきますね。本体書類2点、本人書類5点、場所書類3点、構造書類2点、使用権書類1点、管理者書類4点の6カテゴリで構成されます。法人申請なら役員全員分の本人書類と定款・登記事項証明書が加算され、ほぼ倍の量になるんですよ。
「個人で出すか法人で出すか」のご相談を受けることが多いんですが、書類量だけ見ると個人申請がラクなのは確かなんです。ただ、節税や事業譲渡を見越して法人化される方は最初から法人で出す方が後の手間が少ない。ですよね、ここは事業計画次第なので、迷われたらご相談ください。
本体書類は許可申請書(別記様式第1号)と営業の方法(別記様式第2号)。本人書類は住民票(本籍記載)・身分証明書・登記されていないことの証明書・誓約書・本人写真。前3つは3ヶ月以内のものが必要で、取得タイミングが差戻し回避の最重要ポイントです。
場所書類は営業所周囲略図・用途地域証明書・保護対象施設一覧表。構造書類は平面図・求積図・音響照明設備配置図。使用権書類は賃貸借契約書または建物登記事項証明書。管理者書類は選任承諾書・住民票・身分証明書・本人写真の4点です。
- 本体書類2点:許可申請書、営業の方法
- 本人書類5点:住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、誓約書、本人写真
- 場所書類3点:営業所周囲略図、用途地域証明書、保護対象施設一覧表
- 構造書類2点:平面図・求積図、音響照明設備配置図
- 使用権書類1点:賃貸借契約書または建物登記事項証明書
- 管理者書類4点:選任承諾書、住民票、身分証明書、本人写真
書類のチェックリストは行政書士に相談すれば1案件分まとめてご提供できます。所轄警察署で都道府県別の追加書類要求がないかも確認します。
スナックの構造設備で押さえる客室面積と照度のポイント
1号許可の構造設備基準は風適法施行規則第6条以下に定められていて、ここからが本題です。スナックで特につまずきやすいのが客室面積と照度の2点。実際の現場ではこう判断されますよ、というところを順番にお話しします。
客室面積は和室を除き1室16.5平米以上。狭小物件をスナックに改装する場合、ボックス席を仕切ろうとすると客室として認められない区画が出てきます。「カウンター席エリアとボックス席エリアを別客室として分けたい」と考える方が多いですが、それぞれ16.5平米を確保できないと両方とも客室と認められず、再設計になります。
照度は5ルクス超でなければなりません(10ルクス以下にしてはならない規制は2号許可。1号は5ルクス超なら問題なし)。スナック特有の薄暗いムード照明は許可されますが、5ルクス未満になる場合は2号許可(低照度飲食店)の領域です。LED調光・キャンドル風照明の最大調光時の照度値を必ず計測しておきます。
客室の見通しを妨げる高さ1m超の障壁も設置できません。スナックでよくあるVIP個室風の囲いや、観葉植物の高い仕切りも障壁判定されることがあるんですよね。設計図面の段階で行政書士に確認してもらうのが鉄則です。ところで、現地確認は内装完成後に行われるので、図面OKでも現物がアウトだと指摘されることがある――ここも要注意ポイントなんです。
スナック開業の標準処理55日はどう逆算する?開業3か月前から始める段取り
スナック開業の標準処理期間は55日(土日祝除く)。書類完成から営業開始まで、構造設備の現地確認立会も含めて実質2〜3か月をみます。開業日が決まっているなら、3か月前のご依頼が安全圏です。
逆算スケジュールの実務上の最適解はこちら:開業90日前:物件契約完了・設計図面確定・管理者確定。開業60日前:賃貸借契約書整備(風俗営業使用可条項を含む)・所轄警察署事前相談。開業45日前:3ヶ月期限書類(住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書)取得開始。開業40日前:申請書一式提出・手数料24,000円納付。開業10日前:構造設備の現地確認立会。開業日:許可証受領・営業開始。
このスケジュールに沿うことで、3ヶ月期限書類が「申請時に期限切れ」「申請に間に合わない」両方を回避できます。期限管理は行政書士に丸ごと任せるのが最も事故が少ないですが、自力で進める場合もこの逆算スケジュールを必ずカレンダーに落としてください。
開業日が動かせない場合(例:ビル契約開始日に合わせて)、書類取得が間に合わないと開業日がスライドします。3か月前のご相談を強くお勧めします。
スナックの1号許可申請でよくある不許可ケースと差戻し回避ポイント
ここからは、実際にあった不許可・差戻しのご相談を共有します。「自分の準備状況に当てはまっているかも」と感じたら、いまの段階で対処していただきたいんですよ。同じ失敗を繰り返さないよう、契約前・申請前のチェック項目として活用してください。
1:用途地域不適合。住居系用途地域の物件で契約してしまい、契約後に営業不可が判明するケース。礼金・敷金・仲介手数料が戻らない致命的事故です。商業地域・近隣商業地域・準工業地域以外は1号営業不可。2:保護対象施設距離不足。50m先に学校・病院・図書館・児童福祉施設等があるケース。都道府県条例の距離規制を必ず実測値で確認します。
3:客室面積16.5平米不足。狭小物件で客室を分けすぎて、いずれの客室も16.5平米を満たさないケース。設計段階で求積図を作り、行政書士に二重チェックを受けるのが鉄則。4:見通しを妨げる障壁。VIP席の高い囲いや観葉植物の仕切りが障壁認定されるケース。
5:管理者の欠格事由該当。雇用しようとしている店長クラスのスタッフに罰金以上の刑歴・破産歴があり選任不可になるケース。事前に欠格事由非該当を確認してから採用判断を。6:賃貸借契約書の使用目的不明瞭。「店舗用」とだけ書かれていて、貸主から追加の使用承諾書を取り直すことになるケース。契約段階で『風俗営業使用可』を条項化しておきます。
不許可リスクを事前に洗い出すには、物件契約前の立地調査と所轄警察署事前相談が最も効果的です。当事務所では契約前相談から対応しています。
よくあるご質問(スナック1号許可申請)
スナックは1号許可と深夜酒類届出のどちらが必要ですか?
客の隣で会話のお相手をする接待行為を行うなら1号許可、接待行為なし+深夜営業のみなら深夜酒類届出です。両者は同時に持てず、1号許可を取った場合の営業時間は原則0時までです。
スナックの必要書類は何点ですか?
個人申請で17点(本体2+本人5+場所3+構造2+使用権1+管理者4)です。法人申請の場合は役員全員分の本人書類と定款・登記事項証明書が加わります。
スナックの客室面積基準は?
和室を除き1室16.5平米以上が必要です。狭小物件で複数客室に区切ると、いずれの客室も16.5平米を満たさず差戻しになるケースが多発しています。
スナックの標準処理期間は何日?
55日(土日祝除く)です。構造設備の現地確認立会も含めて、書類完成から営業開始まで実質2〜3か月をみてください。
スナックの申請手数料はいくらですか?
新規許可申請で24,000円(現金または収入証紙)。許可後の各種変更届はそれぞれ手数料が別途発生します。
ママが1人で接客するスナックでも管理者選任は必要?
風適法第24条により営業所ごとに管理者1名の選任が義務付けられているため必要です。ママ本人が申請者かつ管理者を兼任するのが最も多い形態です。
知人から既存スナックを譲り受ける場合は?
許可は本人専属のため譲渡できません。新規許可申請が原則で、店舗の構造をそのまま引き継ぐ場合でも申請者が変わると新規扱いになるんです。法人化されているなら株式譲渡で承継可能なので、長期的に事業承継を考える方は法人化を視野に入れるのも一つの選択肢ですね。
営業時間は何時から何時まで可能ですか?
1号許可の営業時間は原則として0時まで(午前6時から午前0時まで)となります。都道府県条例によって個別の地域で異なることがあるので、管轄の条例も確認してください。0時を超えて営業すると風適法違反になることがあるんですよ。
