業種カテゴリ:風俗営業5号(ゲームセンター)/最終更新:2026-05-10
クレーンゲームの景品上限800円の判定
「クレーンゲームの景品って800円までですよね?でも市場価格3,000円のフィギュアを入れてる店、見たことあるんですけど、あれってアリなんですか?」——お問い合わせで本当に多い質問なんです。実はここ、「800円」が何の価格なのかを間違えると、警察立入で一気に営業停止に行きかねない論点でして。今日は「仕入価格で測る」「複数景品は合算」「アシスト過剰は景品同等視」の3つを、現場の差戻し事例を交えながら整理していきます。
結論からお伝えします
結論を先に言いますね。クレーンゲームの景品上限800円は、店舗が仕入れた価格(卸売価格)に消費税を足した金額で判定するのが原則です。小売価格ベースではないんですよね。だから、市場価格1,500円のキャラクターグッズでも、仕入れが税込800円以下なら設置できる、という結論になります。
ただし、ここが大事なんですが、1人の客が同時に取得しうる景品の合計で判定されます。「1個500円のぬいぐるみを3個セットで提供」なら1,500円判定でアウト。ここを見落とすと指導が来ます。
背景・前提:なぜ800円なのか
5号営業の景品提供は風適法第23条と関連規則で規制されています。クレーンゲーム・プライズゲームでは「物品の価額が800円以下」の景品を提供することが許されている、というのが大枠の話です。
ところで、なぜ「800円」なのかというと、これは賭博性の排除が目的なんですね。お金を払ってゲームをして高額の景品が当たる、というのは射幸心をあおる賭博類似行為に近づいてしまう。だから景品の価格に上限を設けて、「あくまで遊技の対価としてのオマケ」の範囲に収めているんです。ここを履き違えると、最悪刑法の賭博罪まで飛んでいきます。
800円の判定基準——「価額」は仕入価格
「価額」をどう測るかが現場では一番モメるポイントです。実務では、店舗の仕入価格(卸売価格)に消費税を加算した額で判定する運用が一般的です。
| 判定対象 | 金額 | 判定 |
|---|---|---|
| 仕入価格700円+税 | 770円 | OK |
| 仕入価格750円+税 | 825円 | NG(800円超) |
| 仕入価格800円(税込) | 800円 | OK(境界値) |
表の中で要注意なのが、「仕入750円+税で825円」のパターン。仕入時のメモには「750円」と書いてあるので、店長さんが「セーフ」と思って入れてしまうケースがあるんです。判定はあくまで税込で出すこと、これ徹底してください。
仕入価格の証明——立入で必ず聞かれます
立入検査・指導時に「この景品いくらで仕入れました?」と必ず聞かれます。口頭で答えるだけでは足りません。証拠資料を備えておきましょう。
- 仕入伝票・請求書(仕入先発行のもの。日付・単価・数量が読めること)
- 納品書(実際の納品個数と単価)
- 仕入先との契約書(継続取引の場合、単価表が添付されていると最強)
- 景品単価リスト(店内で機械ごとに整理した一覧)
現場感覚で申し上げると、立入があると「全機台について何を入れているか」を一覧で出せと言われます。景品単価リストをExcelで管理しておくと、立入対応が10分で終わります。ここをサボると半日コースになりますよ。
複数景品の判定——「同時取得しうる総額」が基準
これが一番ハマるポイントなんですが、1台のクレーンゲームに複数景品を入れる場合、1人の客が同時に取得しうる景品の総額で800円判定をかけます。
- 例1:500円景品×3個入れ → 客が同時取得するのは1個=500円なのでOK
- 例2:300円景品を3個セットで袋詰めして提供 → 1セット=900円でNG
- 例3:景品袋に複数個入れて同時提供する仕様 → 袋の総額で判定(袋ごと取れるなら合算)
- 例4:「2個取れたら2個ともプレゼント」の運用 → 合算で判定(一度のプレイで取得しうるため)
差戻し事例で多いのが、「キャンペーン期間中は2個取れたら両方プレゼント」の口頭ルール。これ、警察立入で「合算で800円超えてますね」と一発指導が来ます。注意してください。
景品の事前表示
客に景品の概要を表示することは法定義務ではありませんが、トラブル防止の観点から運用上強く推奨されます。
- 景品の写真・名称・価格帯(「景品はすべて800円以下のものです」と明示)
- 取得難易度の目安(◎○△で十分)
- 初回サポート(オペレーター対応)の有無
- 「景品の販売や換金は行いません」の表示(賭博性排除の意思表示)
1プレイ料金の規制——上限はないが過剰は危険
クレーンゲームの1プレイ料金には法律上の上限がありません。業界では100〜200円が一般的ですね。ただし、高額プレイ料金(500円〜1,000円)を設定する店も増えてきていまして、これ自体は違法ではないんです。
ただですね、ここが大事なんですが、「1プレイ1,000円で景品は800円相当」のような設定は、「ほぼ確実に取れる前提」でないと客がつかないので、結果として後述のアシスト過剰問題に直結します。料金設定は単独で見ず、景品の取得難易度とセットで考えてください。
店員のサポート(アシスト)——過剰は景品同等視
クレーンゲームのアームのつかみ補助・落下補助等の店員サポートは、それ自体は違法ではありません。「初回プレイの方にコツをご案内」「3,000円使われたお客様にサービスでアシスト」程度なら問題ない範囲です。
ところが、「確実に取れるまで何度でもアシスト」「投入額に応じて景品を渡す」のような運用は、実質的な景品の販売・提供と判断され、800円超の景品提供と同等視されることがあります。これが「アシスト過剰」と呼ばれる典型的なグレー運用ですね。
現場で安全圏を引くなら、「アシスト記録を残す(誰に・何の景品で・なぜ)」運用がおすすめです。立入時に説明できる状態にしておくと、グレー運用と判断されにくくなります。
違反時のリスク——営業停止から賭博罪まで
800円超の景品提供は賭博類似行為として営業停止・許可取消の対象になります。さらに悪質と判断されると、刑法の賭博罪が適用されるケースもあるんです。
過去の事例では、1台に1万円相当のフィギュアを入れて1プレイ500円で運営していた店が、立入後に営業停止1ヶ月+管理者解任の処分を受けた案件があります。「うちは仕入500円でしたから」と主張しても、市場価格と乖離が大きすぎる景品は射幸心をあおる証拠とされ、結果的に重い処分になることがあるんですね。
業界自主規制——JAIAルールも並行遵守
JAIA(一般社団法人日本アミューズメント産業協会)の自主規制で、景品上限・プレイ料金の表示・年齢確認・店内の射幸性表示の禁止などの業界ルールが定められています。風適法と並行して遵守してください。
業界団体に未加盟の店舗でも、警察立入時には「JAIA基準でいうとどうか」を引き合いに出されることがあります。実質的な業界スタンダードと思って構えておくのが安全です。
業態別の運用例
| 景品種別 | 仕入価格目安 | 運用ポイント |
|---|---|---|
| キャラクターぬいぐるみ | 500〜700円 | 標準。版権物は仕入証憑を厳格保管 |
| 菓子・飲料 | 50〜200円 | 低価格機。食品衛生に注意 |
| 家電(小型) | 500〜790円 | 高価格機。市場価格との乖離に注意 |
| 食品(業務用) | 200〜500円 | 食品系専門機。賞味期限管理必須 |
| オリジナルグッズ | 原価ベース | 製造原価+税で判定可 |
FAQ
- Q1. 市場価格3,000円のフィギュアでも仕入れが700円ならOKですか?
- 原則OKです。ただし「市場価格3,000円相当!」のような表示で客の射幸心をあおる宣伝は別の問題でアウトになることがあります。仕入価格の証明書類は必ず備えてください。
- Q2. 景品の在庫を客に複数渡す運用は?
- 1プレイで取得できる景品の合計が800円以下ならOKです。「初回1個プレゼント」的な運用も合算で判定されることがありますので、ルールを文書化して全機台統一しておくのが安全です。
- Q3. 商品券・QUOカードを景品にできますか?
- 金券類は風適法第23条で禁止される「現金または有価証券」に該当することがあり、景品としては不可と判断されることが一般的です。物品ベースで景品を組んでください。
- Q4. ライブチケット・観劇券は景品にできますか?
- 金券類似で禁止と判断されることが多いです。物品ベースの景品が原則と考えてください。
- Q5. 食品をクレーンゲームの景品にする場合の注意は?
- 食品衛生法の対応・賞味期限管理が必要です。冷蔵冷凍機能のある専用機の使用が一般的。生鮮品は基本避けるべきです。
- Q6. ぬいぐるみのオリジナル制作品は?
- 店舗が仕入れた価格(製造原価+税)で判定します。オリジナル制作で原価が800円以下なら設置可能。製造業者の見積書を保管してください。
- Q7. 確実に景品が取れるアシストモードは違法ですか?
- 適度なアシスト(初回・苦戦客)は許容範囲です。ただし「確実取得を保証する運用」は景品提供の脱法行為と判断される可能性があります。アシスト記録を残しておくのが安全です。
- Q8. 取れた景品を店頭で買い取る運用は?
- これは完全にアウトです。景品の現金化=賭博と同視され、営業停止・許可取消の対象です。店内表示でも「景品の買取はいたしません」と明記してください。
まとめ・お問い合わせ
本記事の内容は実務上の一般的な留意点を整理したものです。実際の店舗・景品ラインナップ・営業所所在地(管轄警察署)によって判断が変わる部分が多くあります。景品ラインナップの組み立てに迷う、アシスト運用が適切か不安、立入対応の準備をしたい——そんな場合はお問い合わせください。事前にルールを整えておくことで、指導処分のリスクは大きく下げられます。
