業種横断|許可の3要件
風俗営業許可の適格要件は
誰が対象?
人的・場所的・構造的の3要件を、
行政書士が完全解説します。
風俗営業許可の審査は、3つの独立した要件を同時に満たしているかで判断されます。人的要件(申請者・役員・管理者の人物適格性)、場所的要件(営業所の立地適格性)、構造的要件(店内の図面適格性)の3つです。
この3要件はAND条件。どれか1つでも欠ければ不許可になり、人的要件をクリアしていても場所が住居地域なら不許可、場所も構造もOKでも申請者が破産歴の復権前なら不許可、という構造です。
この記事では、3要件それぞれの中身・判定方法・自己確認のしかたを実務目線で整理します。物件契約前・申請着手前のセルフチェックにお使いください。
こんな方のための記事です
- これから風俗営業許可を取りたいが、自分が要件を満たすか不安な方
- 過去に破産歴・前科がある方で、申請可否を確かめたい方
- 物件契約前で、立地が許可基準を満たすか自己判定したい方
- 店舗設計の段階で、客室面積・遮蔽・照度の基準を整理したい方
- 法人で申請するため、役員全員の適格性を確認したい方
- 所轄警察署の事前相談前に、ポイントを絞っておきたい方
適格要件は何種類?人的・場所的・構造的の3要件で構成される
風俗営業許可の適格要件は、風適法とその施行令・施行規則・都道府県条例によって規定されており、大きく3つの独立した要件に整理できます。
| 要件 | 主な根拠 | 判定対象 |
|---|---|---|
| 人的要件 | 風適法第4条(欠格事由) | 申請者・法人役員・管理者 |
| 場所的要件 | 風適法第28条・都道府県条例 | 営業所の所在地(用途地域・保護対象施設距離) |
| 構造的要件 | 施行規則第6条以下 | 店内の図面(客室面積・遮蔽・照度・防音) |
重要なのは、3要件がAND条件であること。どれか1つでも欠ければ不許可です。「人物はクリーン」「物件は人気店があった居抜き」「設計は内装業者に任せた」――どれか1つに油断があると、申請後に不許可処分が出ます。
3要件を同時に確認する手順を組まないまま物件契約・内装着手に進むのは、申請の差戻し・営業開始遅延の最大原因です。順序立てて1つずつ潰していきます。
人的要件は何を見られる?風適法第4条の欠格事由を分解する
人的要件は、申請者・法人役員・管理者が「風適法第4条の欠格事由のいずれにも該当しない」ことが条件です。欠格事由は法律で限定列挙されており、運用裁量はありません。該当すれば一律に不許可です。
- 成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 風適法・刑法第175条(わいせつ物頒布等)・売春防止法・職業安定法(無許可有料職業紹介)等の特定法違反で罰金以上の刑に処せられ、5年を経過しない者
- 集団的に、または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
- 過去に風俗営業許可を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しない者
判定対象は、申請者本人、法人申請の場合は役員全員、選任する管理者です。同居の親族や従業員には適用されません。役員1人でも欠格事由に該当する者がいれば、その役員を交代しない限り不許可となります。
自己判定の方法は、身分証明書(本籍地市区町村で発行・破産・後見の通知の有無を証明)と登記されていないことの証明書(法務局で発行・成年後見登記の有無を証明)の2点で機械的に確認できます。前科の有無は犯罪人名簿(市区町村が管理)で公にされていませんが、所轄警察署側は照会で確認します。
執行猶予がある場合は、執行猶予期間が満了すれば「執行を受けることがなくなった日」となり、その日から5年を経過すれば欠格事由から外れます。日付計算は誤りやすいので、行政書士による確認をお勧めします。
場所的要件は何を見られる?用途地域と保護対象施設までの距離
場所的要件は、営業所の所在地が「風俗営業を営むのに適した場所か」を判定するものです。判定軸は用途地域と保護対象施設までの距離の2軸です。
| 判定軸 | 許可の出る範囲 | 許可の出ない範囲 |
|---|---|---|
| 用途地域(1号〜3号) | 商業地域・近隣商業地域・準工業地域 | 住居地域系(第一種低層住居専用地域〜準住居地域・田園住居地域)・工業地域・工業専用地域 |
| 保護対象施設からの距離 | 条例距離をクリア | 条例距離以内に学校・病院・図書館・児童福祉施設がある場合 |
用途地域は都市計画法に基づく区分で、市区町村の都市計画課で用途地域証明書を取得して確認します。1号〜3号営業は商業地域・近隣商業地域・準工業地域に限定。住居地域系では原則不許可です。4号5号は地域条例によって商業地域以外でも許可されるケースがあります。
保護対象施設は、学校(幼稚園・小中学校・高校・大学等)、病院・診療所、図書館、児童福祉施設(保育園・児童館等)が代表例。条例で定められた距離(半径50〜100m前後・都道府県差あり)の範囲内に保護対象施設があると、許可は下りません。
距離の測り方は都道府県条例で異なります。「営業所の出入口から保護対象施設の敷地境界線までの最短距離」「直線距離」「公道沿いの距離」など測定方法が違うため、都道府県条例の確認が必須です。GoogleマップとMS Officeの直線測定だけで判定すると、条例の測定方法と異なって過小評価することがあります。
用途地域と距離の2軸を物件契約前に確認できれば、立地不適合のリスクは大半が回避できます。仲介業者の口頭説明だけで決めず、用途地域証明書の現物確認と所轄警察署事前相談をセットで行うのが安全です。
構造的要件は何を見られる?客室面積・遮蔽・照度・防音の4軸
構造的要件は、店内の図面が施行規則第6条以下の基準に合致しているかを判定するものです。判定軸は4つです。
| 判定軸 | 基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 客室面積 | 和室を除き1室16.5㎡以上(1号)/3号は5㎡以下(区画客席) | 施行規則第6条 |
| 遮蔽(見通し) | 客室の見通しを妨げる高さ1m超の障壁を設けない | 施行規則第7条 |
| 照度 | 1号は10ルクスを下回らない/2号は5〜10ルクス | 施行規則第8条 |
| 防音 | 営業所外への音漏れが規制値内 | 施行規則第9条・地域条例 |
客室面積は1号営業(接待飲食)の場合、和室を除き1室あたり16.5㎡以上。狭小客室(VIPルーム等)が16.5㎡未満だと、その客室は使用不可となり、図面修正が必要になります。求積の計算方法(壁芯か内法か)は図面に明記します。
遮蔽は、客室の見通しを妨げる高さ1m超の障壁を設けないことが条件。VIP席の囲い・ボックス席の高い仕切り・ステージ前の柱と一体になった壁などが該当しやすい。客室同士をパーテーションで区切る場合も1m以下にとどめる必要があります。3号営業は逆に区画客席(5㎡以下の個室)が前提のため、別ルールです。
照度は、客室の最暗部の照度値で判定します。1号は最低10ルクス以上、2号は5〜10ルクス。LED照明の調光機能で営業中に基準を下回ると違反になります。許可申請時の図面では、最大調光時と最小調光時の両方の照度値を明記するのが安全です。
防音は、営業所外への音漏れが規制値内であること。1号・2号は隣接建物・道路への騒音が問題になり、特にカラオケ・生演奏を伴う店舗は防音工事が必要になることが多い。地域条例の騒音基準(夜間40〜50dB前後)も併せて確認します。
構造的要件は図面段階で潰すのが鉄則。施工後に発覚すると数百万円単位の作り直しになります。図面提出前に行政書士または所轄警察署で確認を取ってください。
3要件はAND条件。1つでも欠けると不許可になる
3要件はそれぞれ独立しており、すべてを同時に満たす必要があります。よくある読み違いは「人物がクリーンならどこかでカバーできる」「居抜き物件だから立地は大丈夫」「設計士に任せたから構造はOK」というもの。いずれも独立評価のため、相互カバーはありません。
- 人的要件OK/場所的要件NG(住居地域)→ 不許可
- 人的要件OK/構造的要件NG(客室14㎡)→ 不許可
- 場所・構造OK/人的要件NG(5年未満の禁錮歴)→ 不許可
- 3要件すべてOK → 許可
順序立てて潰す手順は、(1)人的要件のセルフチェック → (2)物件選定段階で場所的要件 → (3)設計図面段階で構造的要件 → (4)所轄警察署事前相談で総合確認の4ステップ。物件契約はSTEP2の判定後、内装着手はSTEP4の事前相談後に行うのが事故率の低い段取りです。
よくあるご質問(風俗営業許可 適格要件)
風俗営業許可の適格要件は何種類ありますか?
3種類です。人的要件(風適法第4条の欠格事由非該当)、場所的要件(用途地域・保護対象施設からの距離規制)、構造的要件(客室面積・遮蔽・照度・防音)の3要件すべてを同時に満たす必要があります。
人的要件は申請者だけが対象ですか?
申請者本人だけでなく、法人申請の場合は役員全員、選任する管理者にも適用されます。同居の親族や従業員には適用されません。役員交代・管理者変更時は新たに就任する方が要件を満たすかの確認が必要です。
場所的要件で最もよく不許可になるのは何ですか?
用途地域の不適合と保護対象施設までの距離不足の2点です。住居地域系の用途地域では1号〜3号の許可が下りません。距離は都道府県条例で測り方が違うため、条例の確認が必須です。
構造的要件の客室面積基準は?
和室を除き、1室あたり16.5㎡以上(施行規則第6条)。客室の見通しを妨げる高さ1m超の障壁は設置できません。求積は壁芯または内法のどちらで計算しているかを図面に明記する必要があります。
用途地域証明書はどこで取れますか?
市区町村の都市計画課で取得できます。物件契約前に確認していないと、契約後に「営業不可」が判明する事故になります。仲介業者の口頭説明だけで判断せず、必ず証明書の現物を確認してください。
破産歴がある場合は申請できませんか?
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は欠格事由に該当しますが、復権後は申請可能です。復権の確認は本籍地の市区町村で取得する身分証明書で行います。
3要件をクリアしているか自分で判定できますか?
人的要件は身分証明書・登記されていないことの証明書で機械的に判定できますが、場所的要件・構造的要件は専門知識が必要です。所轄警察署生活安全課保安係の事前相談か、行政書士による事前判定を推奨します。
