業種横断|風俗営業全体像(配布物品質・完全解説書)
風俗営業許可・届出、これ1ページで全部わかる完全ガイド。
種類・要件・必要書類・費用・申請の流れ・
許可後の手続きまで、行政書士が実務目線で解説します。
「風俗営業許可」と一口に言っても、実際は風適法第2条で大きく3系統・8区分に分かれていて、業態ごとに必要な手続きも書類も流れも全く違います。
キャバクラ・スナックは1号許可、低照度バーは2号、区画客席は3号、ぱちんこ店は4号、ゲームセンター・クレーンゲームは5号、深夜のバーは届出、デリヘル・性風俗店舗は別系統――。この区分を最初に間違えると、書類を一式作り直すか、最悪は無許可営業として行政処分の対象になります。
この記事は、これから開業される方や差戻しで困っている方に向けて、「これ1本読めば全部わかる」を目標に書きました。8区分の業種別定義・人的場所的構造的の3要件・必要書類6カテゴリ・費用の相場・申請の全体フロー8ステップ・よくある差戻し事例10選・許可取得後の変更届と更新の有無・他法令との関係・違反したときの処分まで、配布物品質で1ページに整理しています。
こんな方のための記事です
- これから飲食・遊技・ナイトレジャーで開業を検討していて、まず制度の全体像を知りたい方
- 自分の業態が1号〜5号・深夜酒類届出・性風俗関連特殊営業のどれに当たるか自信がない方
- 「許可」と「届出」の違いがあいまいで、自分はどちらを出せばよいか確かめたい方
- 物件契約前で、立地・構造・距離規制の判定軸を整理しておきたい方
- 標準処理期間55日と聞いて、開業日から逆算した段取りを把握したい方
- 費用感(行政手数料+実費+行政書士報酬)の相場を一度に確認したい方
- 所轄警察署で1度差戻されてしまい、不備の原因と直し方を知りたい方
- 許可を取った後に何をすればよいか(変更届・更新の有無・廃業届)を確認したい方
- 他法令(食品衛生法・建築基準法・消防法)との関係を整理しておきたい方
- 業種別の詳細記事を読む前に、共通ルールを1ページで押さえたい方
自分のお店、結局どれに当てはまるの?
まず最上位の構造から押さえます。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(略して風適法)は、対象となる業種を大きく3系統・8区分に分類しています。許可制の風俗営業1〜5号、届出制の深夜酒類提供飲食店、届出制の性風俗関連特殊営業、この3系統です。
最初にこの全体像を頭に入れておくと、自分の業態が「どこに着地するか」を直感的にイメージできるようになります。自分のお店が1号なのか深夜酒類届出なのかで、用意する書類も、申請にかかる時間も、行政手数料も、そもそも審査の重さも違うからです。
| 系統 | 区分 | 代表的な業態 | 制度 | 標準処理 |
|---|---|---|---|---|
| 風俗営業 (風適法第2条第1項) | 1号 | キャバクラ・接待スナック・ホストクラブ・高級クラブ | 許可制 | 55日 |
| 2号 | 低照度(10ルクス以下)バー・喫茶・ムードバー | 許可制 | 55日 | |
| 3号 | 区画席(5㎡以下)カップル喫茶・個室バー | 許可制 | 55日 | |
| 4号 | ぱちんこ店・パチスロ店・麻雀店(雀荘) | 許可制 | 55日 | |
| 5号 | ゲームセンター・クレーンゲーム店・メダルゲーム店 | 許可制 | 55日 | |
| 深夜酒類提供 (風適法第33条) | — | 深夜0時以降の酒類主体バー・居酒屋・角打ち | 届出制 | 営業10日前 |
| 性風俗関連特殊営業 (風適法第2条第5項以下) | 店舗型・無店舗型 | 店舗型ヘルス・ファッションヘルス・デリヘル等 | 届出制 | 営業前 |
| 映像送信型・電話異性紹介 | アダルトライブ配信・テレクラ・ツーショットダイヤル | 届出制 | 営業前 |
ここで一番重要なのは、業態によって入口が完全に決まっているということです。「キャバクラを深夜酒類届出で済ませたい」「ぱちんこ店を1号で出したい」――こうした選び替えはできません。業態の実態(接待の有無・酒類提供の有無・遊技機の有無・営業時間・客席構造)を風適法第2条の定義に当てはめて、機械的に分類されます。
業態判定を最初に間違えると、書類一式が無駄になります。所轄警察署生活安全課保安係の事前相談で誤判定を事前確認してから、書類作成に進むのが鉄則です。
自分のお店、許可制と届出制のどっちで動けばいい?
8区分のうち、1号〜5号は許可制、深夜酒類と性風俗関連特殊営業は届出制です。両者の最大の違いは「営業開始のタイミング」と「審査が入る順序」です。
許可制は、申請を受け付けたあとに公安委員会が中身を審査し、標準処理期間55日(土日祝除く・風適法施行令)が経過してから許可証が交付され、その日から営業開始できる制度です。書類不備や構造設備の不適合があれば、不許可処分または補正の指示が出ます。書類完成から営業開始まで実質2〜3か月、と覚えておけば大きく外しません。
届出制は、受理されれば即日営業開始可能です。ただし「届出だから簡単」という意味ではありません。欠格事由(風適法第4条準用)・場所要件(用途地域・距離規制)・構造要件は許可制と同水準で要求されます。違反が事後に判明すれば営業停止や届出受理の取消になり、無届出営業は刑事罰の対象です。受付窓口での事前確認が必要なのは許可制と同じです。
| 論点 | 許可制(1号〜5号) | 届出制(深夜酒類・性風俗関連) |
|---|---|---|
| 審査の入る順序 | 営業前審査(事前審査) | 事後審査(受理後に違反が見つかると処分) |
| 営業開始日 | 許可証交付日(申請から実質2〜3か月後) | 受理日当日(深夜酒類は営業開始10日前提出) |
| 行政手数料 | 24,000円(収入証紙) | 不要(深夜酒類)/業態によって異なる |
| 欠格事由・場所要件 | 事前審査で確認 | 受理時の書面確認+事後の実態審査 |
| 違反時の処分 | 不許可・許可取消・営業停止 | 受理取消・営業停止・刑事罰 |
「届出だから今日から営業」と判断する前に、欠格事由・場所要件・構造要件の3点を必ず行政書士または所轄警察署で事前確認してください。事後の処分は営業継続そのものを止めます。
1号 接待飲食ってどんな業態?キャバクラ・スナック・ホストクラブ・クラブ
風俗営業1号は「接待飲食等営業」と呼ばれ、設備を設けて客に飲食させる営業のうち、客の接待をして客を遊興させる業態です。風適法第2条第1項第1号に定義されています。実務で最も件数が多く、スナック・キャバクラ・ラウンジ・ホストクラブ・高級クラブ・ガールズバーの一部などが該当します。
キーワードは「接待」です。接待とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと(風適法第2条第3項)で、隣に座って一緒に飲む・お酌をする・カラオケを一緒に歌う・身体に触れる・延々とお話の相手をする、これらが該当します。「お通しを置く」「料理を運ぶ」「会計をする」は接待ではありません。
よくある読み違いが、ガールズバーやコンセプトカフェの扱いです。カウンター越しにお酒を作って提供するだけなら接待には当たりませんが、カウンターを越えて隣に座る、客のグラスにお酌する、客の肩に手を置く――こうした行為が一度でも発生したら1号許可がないと無許可営業になります。「ガールズバーは深夜酒類届出で大丈夫」と聞いたことがある方も多いですが、それは接待を伴わない運営ができている店だけの話です。
| 該当する業態 | 該当しない業態 |
|---|---|
| キャバクラ・キャバレー | 居酒屋(接待なし) |
| 接待スナック・ラウンジ | カラオケボックス(個室・接待なし) |
| ホストクラブ・高級クラブ | カフェ・喫茶店(接待なし) |
| 接待を伴うガールズバー・コンカフェ | 接待しないガールズバー(深夜は届出) |
客室面積は和室を除き1室16.5㎡以上、客室の見通しを妨げる高さ1m超の障壁は禁止。詳細はキャバクラ開業の必要書類17点の記事をご覧ください。
2号 低照度飲食ってどんな業態?ムードバー・隠れ家系の10ルクス基準
風俗営業2号は「低照度飲食店営業」で、設備を設けて客に飲食させる営業のうち、客席の照度を10ルクス以下として営むものです(接待を伴わないこと、5㎡以下の区画客室がないこと、が要件)。風適法第2条第1項第2号に定義されています。
代表例はムードバー・隠れ家系バー・カップルダイニング・キャンドルライトバー・薄暗いシガーバーなど。雰囲気重視で照明をかなり落として営業する店舗が該当します。10ルクスは「新聞の見出しがやっと読める」程度の暗さで、一般的な居酒屋やカフェ(300〜500ルクス)とはまったく別物です。
実務上の論点は照度計測です。所轄警察署は現地確認立会のときに照度計を持参し、客席の各テーブル位置で実測値を測ります。設計段階で「10ルクス以下になるよう照明計画を組む」のは比較的容易ですが、調光器を最大にしたときの照度も10ルクス以下になるよう機器選定するのは設計士の腕次第です。LED照明・ロウソク・スポットライトの選び方を誤ると、検査直前に器具入替が必要になります。
もうひとつ重要なのが接待禁止。2号は照度で客の遊興を演出するという建付けなので、接待を伴ったらその瞬間に1号扱いになります。「うちは10ルクス以下だから2号で楽でいい」と思って隣に座る運営をすると、即刻無許可営業です。
照度計測の実務は10ルクス測定の実務と10ルクス以下の判定を、必要書類は2号バーの書類と図面をご覧ください。
3号 区画飲食ってどんな業態?カップル喫茶・個室バーの5平米以下区画
風俗営業3号は「区画席飲食店営業」で、設備を設けて客に飲食させる営業のうち、客席が1区画5㎡以下に区切られている店舗を指します(接待を伴わないこと、低照度でないこと、が要件)。風適法第2条第1項第3号に定義されています。
代表例はカップル喫茶・個室バー・小区画ボックス席のあるカフェ・出会い喫茶など。「狭い区画で客同士がプライバシーを保って過ごす」設計の店舗が該当します。逆に、ファミレスのようなボックス席(壁ではなく低い仕切りで区切られた半区画)は3号ではなく一般飲食店扱いです。判定の決め手は「1区画5㎡以下に物理的に区切られているか」です。
3号で問題になりやすいのは区画の作り方です。壁の高さが低すぎると区画と認められず、高すぎると客室の見通しを妨げる障壁(1m超)として違反になります。完全な個室(天井まで壁がある)も区画として認められない場合があります。区画の高さ・透過性・出入口の構造を、図面段階で所轄警察署に確認することが必須です。
| 論点 | 3号該当の条件 |
|---|---|
| 1区画の面積 | 5㎡以下(畳2枚程度) |
| 区画の作り | 物理的に区切られている(衝立・パーテーション・壁等) |
| 区画の高さ | 1m超は禁止(客室見通し阻害) |
| 接待 | 禁止(接待ありなら1号) |
| 照度 | 10ルクス超(10ルクス以下なら2号) |
詳細はカップル喫茶の区画席審査と3号区画の作り方をご覧ください。
4号 パチンコ・麻雀ってどんな業態?投資額が大きく地位承継も発生する業種
風俗営業4号は「ぱちんこ屋等遊技場営業」で、ぱちんこ・パチスロ等の遊技機を設置して客に遊技をさせる営業、および麻雀店(雀荘)が該当します。風適法第2条第1項第4号に定義されています。
4号の特徴は初期投資額の大きさと営業継続性です。ぱちんこ店であれば遊技機1台あたり40万円〜、フロア300台規模なら遊技機だけで1.2億円超。物件取得・内装・看板・換金所まで含めれば数億円規模の投資になり、店舗の世代交代(地位承継)も頻繁に発生する業種です。代表者の死亡・法人合併・事業譲渡で許可を引き継ぐ手続き(地位承継承認申請)の制度設計があります。
麻雀店(雀荘)も4号です。雀荘は遊技機(自動麻雀卓)を客に使わせる営業として4号に位置付けられ、検定機の使用・保健所の食品衛生許可(飲食提供する場合)・構造設備基準(客席の見通し・出入口の位置)が論点になります。最近は健康麻雀・ノーレート店として開業するケースが増えていますが、ノーレートでも4号許可は必要です。
4号で特有の論点が遊技機の検定。設置する遊技機は警察庁の検定を通過した認定機種でなければならず、無検定機を1台でも置くと無許可営業同等の扱いになります。中古機を導入するときは検定通過機種であるかの確認が必須です。
詳細は麻雀店(雀荘)の許可申請、ぱちんこ店の必要書類、ぱちんこ店の地位承継をご覧ください。
5号 ゲームセンターってどんな業態?クレーンゲーム・メダルゲームの18歳未満入場制限
風俗営業5号は「店舗型ゲーム機営業」で、ゲーム機を設置して客に遊技させる営業です。クレーンゲーム店・メダルゲーム店・アーケードゲームセンターが該当します。風適法第2条第1項第5号に定義されています。
5号で最も気をつけるべきは18歳未満の入場時間制限です。風適法第22条と都道府県条例で、5号営業所には18歳未満(一部地域では16歳未満)の同伴者なし入場が深夜帯(22時以降など)禁止されています。「子ども連れの家族が夜遅くまで遊んでいる店」は、この時点で違反です。入口の年齢確認体制・店内の見通し・退店促しの運用ルールが、現地確認立会の重要チェックポイントになります。
クレーンゲームの景品については、風適法施行規則第35条で1個あたり800円相当以下の規制があります(プライズ機の景品上限)。これを超える高額景品を設置すると、賭博性の助長として処分対象になります。「どこまでが800円相当か」の判定は実務で頻繁に議論になり、所轄警察署生活安全課が定期巡回で景品の単価を確認していきます。
メダルゲーム店ではメダルの景品交換の可否、外部持ち出しの禁止、店内貸出の運用が論点になります。詳細は業種別記事をご覧ください。
詳細はクレーンゲーム店の許可、800円景品ルール、メダルゲーム店の運営、18歳未満入場規制をご覧ください。
深夜酒類提供届出ってどんな業態?バー・居酒屋・角打ちの「営業開始10日前」
深夜酒類提供飲食店営業は、深夜(午前0時〜午前6時)に主として酒類を提供する飲食店業で、風適法第33条に基づき所轄警察署に届出を出すことで営業できます。バー・居酒屋・スポーツバー・角打ち・立ち飲み・クラフトビアパブなどが該当します。
重要なのは「主として酒類を提供する」の判定。料理が主体で深夜にお酒も出すラーメン店・ファミレスは届出不要ですが、お酒の売上が食事を上回るバーや居酒屋は届出必須です。売上比でおよそ酒類売上が50%超なら届出が必要、というのが実務感覚ですが、グレーゾーンは所轄警察署の判断によります。
届出は営業開始の10日前までに出す必要があります(風適法施行規則)。許可制の55日と比べると圧倒的に早いですが、立地調査・図面作成・本人書類取得には最低2〜3週間かかるため、開業日の1.5か月前には準備を始めるのが安全です。
深夜酒類届出で最も多い差戻しが用途地域の不適合です。深夜酒類は住居系用途地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域)では営業できません。商業地域・近隣商業地域・準工業地域・工業地域なら原則OK。物件契約前の用途地域確認が、深夜酒類でも必須です。
詳細はバー深夜営業の届出書類、届出が必要なケース、1号と深夜酒類の境界、角打ち・立ち飲みの届出をご覧ください。
性風俗関連特殊営業の5区分は?無店舗型/店舗型/映像送信型/電話異性紹介
性風俗関連特殊営業は風適法第2条第5項以下に定義され、5区分に分かれます。届出制ですが、人的欠格事由・場所要件は許可制より厳しく運用される業種です。「届出制だから簡単」という認識は通用しません。
| 区分 | 業態 | 論点 |
|---|---|---|
| 店舗型性風俗特殊営業 | 店舗型ヘルス・ファッションヘルス・ソープランド(指定地域内) | 新規届出は事実上不可(地域規制) |
| 無店舗型性風俗特殊営業 | デリバリーヘルス(デリヘル)・派遣型エステ | 事務所所在地の届出・本人確認 |
| 映像送信型性風俗特殊営業 | アダルトライブ配信・有料動画配信 | インターネット異性紹介事業との重複届出 |
| 店舗型電話異性紹介営業 | テレクラ(店舗型) | 立地規制・距離規制が厳しい |
| 無店舗型電話異性紹介営業 | ツーショットダイヤル・無店舗テレクラ | 事務所届出・電話設備の所在地 |
最も件数が多いのは無店舗型(デリヘル)です。事務所所在地を所轄警察署に届け出る形態で、店舗を持たず派遣する運営。事務所の所在地が住居系用途地域だと届出が受理されないため、事務所選定が最初の関門です。広告掲載の規制(女性の容姿写真の扱い・料金の表示方法)も厳しく、ホームページ・ポータルサイトの掲載内容まで規制対象になります。
店舗型は新規開業がほぼ不可能と言われています。風適法施行時点で営業していた店舗は既得権で残っていますが、新規地域指定(営業可能地域)はほとんど追加されておらず、新たに店舗型ヘルスやソープランドを始めるのは現実的に困難です。
映像送信型はインターネットを使ったアダルト動画配信業で、近年届出件数が増加しています。サーバ設置場所・配信責任者・年齢確認システムが論点で、加えて「インターネット異性紹介事業」(出会い系サイト規制法)の届出も必要になることがあります。
詳細はデリヘル開業の必要書類、デリヘル広告規制、店舗型の地位承継、映像送信型の届出、200m距離規制をご覧ください。
自分は許可が下りる人?それとも下りない人?
風俗営業許可の適格要件は、大きく人的要件・場所的要件・構造的要件の3つに分かれます。許可制でも届出制でも、どの業種でも必ず審査されるのがこの3要件で、1つでも満たさなければ許可は下りない(届出は受理されない)構造です。
人的要件(風適法第4条)は、申請者・法人役員・管理者が欠格事由に該当しないこと。具体的には、成年被後見人・被保佐人でないこと、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者でないこと、禁錮以上の刑に処せられその執行を終わり等から5年を経過していること、暴力団員でないこと、住居の定まらない者でないこと、未成年者でないこと、などです。法人申請の場合は役員全員、管理者にも同様に適用されます。
場所的要件は、用途地域と保護対象施設からの距離。1号〜5号は商業地域・近隣商業地域・準工業地域でしか営業できず、住居系用途地域では原則不許可です。さらに学校(大学・高校・中学・小学校・幼稚園)・図書館・病院・診療所・児童福祉施設から、都道府県条例で定める距離(東京は概ね100m、大阪は概ね100m、地方の県では50m程度のところもあり)を確保する必要があります。
構造的要件は、客室面積・遮蔽・照度・防音・出入口の作りなど、店内の物理構造に関する要件です。1号は客室1室16.5㎡以上・客室見通しを妨げる1m超障壁禁止・客室出入口に施錠装置禁止、2号は照度10ルクス以下、3号は1区画5㎡以下、4号5号は遊技機の配置基準など、業種別に細かい構造要件があります。
| 要件 | 主な論点 | 確認タイミング |
|---|---|---|
| 人的要件 | 欠格事由(破産・刑罰歴・暴排)/申請者・役員・管理者全員 | 本人書類取得時 |
| 場所的要件 | 用途地域/保護対象施設までの条例距離 | 物件契約前 |
| 構造的要件 | 客室面積・遮蔽・照度・防音・出入口 | 図面作成段階 |
詳細は3要件完全解説、欠格事由(前科・破産歴)、距離規制(200m規制)をご覧ください。
必要な書類は?
業種ごとに細部は変わりますが、必要書類の大枠は6カテゴリ・15〜17点で共通しています。本体書類・本人書類・場所書類・構造書類・使用権書類・管理者書類の6つに分けて、何をどこで取るか・何を書くか・有効期限はいつまでか、まとめて整理します。
①本体書類 2点
許可申請書(別記様式第1号)/営業の方法(別記様式第2号)
申請の中核。営業所名・所在地・営業時間・客室面積・接待のしかた・料金体系を記載。都道府県警HPからダウンロードしますが、書き慣れない方は壁芯/内法計算ミスや営業類型の選び間違いで差戻しになる書類です。
②本人書類 5点
住民票(本籍記載)/身分証明書/登記されていないことの証明書/誓約書/本人写真(縦3.0×横2.4cm)
本籍地市区町村の身分証明書(運転免許証ではなく)と、法務局の登記されていないことの証明書(収入印紙300円)が要注意。3ヶ月以内のものが必要なので、申請日の30〜60日前に取得するのが最適。
③場所書類 3点
営業所周囲略図/用途地域証明書(市町村長証明)/保護対象施設一覧表
物件の所在地が「許可が下りる場所か」を証明する書類群。商業・近隣商業・準工業地域でないとアウト。学校・病院・図書館・児童福祉施設までの距離(条例で50〜100m)も実測値で示します。
④構造書類 2点
営業所平面図・求積図/音響照明設備配置図
店内の作りが基準を満たすかを示す図面。客室面積(和室除き1室16.5㎡以上)/高さ1m超の障壁不可/照度基準。図面段階で確認していないと、内装完成後に作り直しが発生します。
⑤使用権書類 1点
賃貸借契約書写し(または建物登記事項証明書)
物件を営業に使う権利の証明。「居住用」「事務所用」のままだとアウト。物件契約段階で「風俗営業使用可」を契約条項に入れるか、貸主の使用承諾書を取得します。
⑥管理者書類 4点
選任承諾書/住民票/身分証明書/本人写真
営業所ごとに1名の管理者を選任(風適法第24条)。申請者本人と兼任できますが、複数店舗を持つ場合は店舗ごとに別の管理者が必要。欠格事由は申請者と同じく風適法第4条が適用。
法人申請の場合は書類量がほぼ倍
役員全員分の本人書類5点(住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書・誓約書・写真)が加わります。役員3人なら本人書類だけで15点増。さらに定款と登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が必要です。
個人申請では15〜17点、法人申請では役員数に応じて30〜40点規模になります。
3ヶ月期限の3点に注意
住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書は3ヶ月以内のものが必要です。早すぎると申請時に期限切れ/遅すぎると本籍地郵送請求の往復で間に合わない。申請日の30〜60日前に取得するのが実務上の最適解です。期限管理は行政書士に丸ごと任せるのが最も事故が少ないです。
業種別の必要書類点数は、1号許可(キャバクラ・スナック)は17点、4号許可(パチンコ)は遊技機関係の書類が追加、深夜酒類届出は10点前後、デリヘル届出は事務所書類が中心と、それぞれの記事をご覧ください。
申請から営業開始まで、どれくらい見ておけばいい?開業3か月前から逆算する動き方
許可制の場合、書類完成から営業開始まで実質2〜3か月。届出制の場合でも、立地調査・構造図面・本人書類取得には最低1か月かかります。開業予定日の3か月前を起点に逆算するのが安全です。
- 開業90日前:業態判定(1号〜5号/深夜酒類/性風俗関連のどれか)/物件選定・立地調査/所轄警察署事前相談/設計士選定
- 開業60日前:賃貸借契約整備(風俗営業使用可条項を入れる)/設計図面確定(壁芯寸法・客室面積・遮蔽・照度・防音)/管理者確定
- 開業45日前:住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書を取得(3ヶ月期限の起点)/用途地域証明書を市区町村で取得/保護対象施設の実測
- 開業30日前:誓約書・選任承諾書を行政書士が作成/申請書類最終チェック/所轄警察署生活安全課保安係へ申請(手数料24,000円・収入証紙)
- 開業当日:構造設備の現地確認立会/許可証または届出受理書受領/営業開始
この逆算スケジュールに沿うことで、3ヶ月期限の書類が「申請時に期限切れ」「申請に間に合わない」の両方を回避できます。期限管理は行政書士に丸ごと任せるのが最も事故が少ないですが、自力で進める場合もこのカレンダーを必ず作成してください。
届出制(深夜酒類・性風俗関連)の場合は、上記の30日前までを同じスケジュールで進め、30日前の段階で届出受理を済ませると安全です。深夜酒類の届出は営業開始10日前が法定期限ですが、書類不備で再提出になると間に合わなくなるため、余裕を持って動きます。
詳細は物件契約から営業開始までのロードマップをご覧ください。
申請して営業を始めるまで、自分は何をいつやればいい?
業種を問わず、風適法上の営業を始めるまでの流れはおおむね8ステップに分かれます。許可制でも届出制でも、前半5ステップは共通です。
- STEP1 業態判定:接待・酒類・遊技機・営業時間・客席構造の5軸で1号〜5号/深夜酒類/性風俗関連のどれに当たるか判定
- STEP2 物件選定・立地調査:用途地域証明書・保護対象施設までの距離(学校・病院・図書館・児童福祉施設)を確認
- STEP3 所轄警察署の事前相談:生活安全課保安係に物件と業態を持ち込み、不許可リスクを事前確認
- STEP4 図面作成・書類取得:平面図・求積図・音響照明配置図・住民票・身分証明書等を期限内に取得
- STEP5 申請書類提出:許可申請書(別記様式第1号)・営業の方法(別記様式第2号)・添付書類一式を所轄警察署に持参
- STEP6 標準処理55日:許可制の場合は審査期間。届出制の場合はこの段階を飛ばして即日受理
- STEP7 現地確認立会:所轄警察署が図面と現場の一致を確認。図面と異なる施工があれば補正指示
- STEP8 許可証受領・営業開始:許可証または届出受理書の受領後、営業開始
業態によって省略・追加されるステップはありますが、骨格は変わりません。注意点はSTEP3を省かないこと。事前相談を飛ばして申請すると、立地不適合・構造不備で差戻しになる確率が跳ね上がります。所轄警察署生活安全課保安係は、事前相談を歓迎しています(むしろ推奨しています)。「事前相談で目をつけられるのでは」と心配される方がいますが、その逆で、事前相談で議論を済ませた案件のほうが審査は早く・確実に進みます。
物件契約はSTEP3の事前相談を済ませてから行うのが安全です。契約後に立地不適合が判明すると、礼金・敷金・仲介手数料が戻らないケースがほとんどです。
全部でいくらかかるの?うちの場合の費用感
風俗営業許可の費用は、行政手数料・書類取得実費・行政書士報酬の3つで構成されます。それぞれの相場を整理します。
行政手数料は1号〜5号いずれも24,000円。所轄警察署窓口で都道府県の収入証紙を購入して納付します(東京都は東京都収入証紙、埼玉県は埼玉県収入証紙、というように都道府県ごと)。深夜酒類提供届出は手数料無料。性風俗関連特殊営業は業態によって手数料が異なり、無店舗型デリヘル・映像送信型は無料、店舗型は手数料が発生します。
書類取得実費は、住民票(300〜500円)・身分証明書(300〜500円)・登記されていないことの証明書(300円)・用途地域証明書(300〜500円)・登記事項証明書(600円)など。個人申請なら合計5,000〜8,000円、法人申請なら役員人数に応じて10,000〜20,000円程度。本籍地が遠方で郵送請求になる場合は、定額小為替の手数料(1枚100円)と返信用郵便代も加算します。
行政書士報酬は業種・地域・規模で大きく変動します。下表は当センターおよび業界の概ねの相場です。あくまで目安で、個別案件の見積もりは業態・物件状況・所轄警察署のローカルルール対応の有無で増減します。
| 業種 | 行政書士報酬の相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 1号 接待飲食(小規模スナック) | 15万円〜25万円 | 客室1〜2室・図面なし |
| 1号 キャバクラ・ラウンジ | 20万円〜35万円 | 客室複数・図面作成あり |
| 2号 低照度バー | 15万円〜25万円 | 照度測定立会含む |
| 3号 カップル喫茶・個室バー | 20万円〜30万円 | 区画図面の作り込み |
| 4号 麻雀店(雀荘) | 20万円〜30万円 | 遊技機配置図含む |
| 4号 ぱちんこ店(300台規模) | 40万円〜80万円 | 図面・遊技機検定確認 |
| 5号 クレーンゲーム・ゲームセンター | 15万円〜30万円 | 景品単価管理含む |
| 深夜酒類提供届出 | 10万円〜18万円 | 図面・本人書類・届出書 |
| 性風俗関連 無店舗型(デリヘル) | 15万円〜30万円 | 事務所届出・広告審査含む |
| 性風俗関連 映像送信型 | 15万円〜30万円 | インターネット異性紹介との重複届出 |
合計すると、個人申請の小規模スナックなら約16万円〜26万円、ぱちんこ店なら約42万円〜83万円程度がおおよその予算感です。これに加えて、物件取得費・内装工事費・遊技機購入費・備品費が別途必要になりますが、それらは業種別記事および当センターの料金ページをご覧ください。
当センターは1件ごとのお見積もり制で、ご相談・お見積もりは無料です。詳細は料金と流れをご覧ください。
うちの県はどうなってる?地域でルールが違うって本当?
風適法は全国に適用される法律ですが、条例で具体的な数字や運用が定められている部分は都道府県ごとに異なります。同じ「キャバクラ開業」でも、東京都と地方の県で条件が異なることがあります。
条例差が出やすい論点は次の4つです。
- 保護対象施設からの距離:東京都は商業地域内でも約100m、大阪府は約100m、地方の県では50m前後のところもあります
- 営業時間制限:1号は原則0時まで(一部繁華街は1時まで延長可)、地域指定で延長可能エリアの線引きが都道府県条例で決まっています
- 用途地域内でも営業不可とする独自規制:商業地域でも一部地区を「保全地区」として風俗営業を制限する条例を持つ自治体があります
- 申請書様式・添付書類の追加要請:所轄警察署ごとに「現地写真を求める」「内装業者の見積書を求める」など、ローカル運用が積み上がっているケースがあります
確認方法は2段階。まず都道府県警察のWebサイトで「風俗営業」を検索し、申請の手引き・条例・別記様式を入手します。次に所轄警察署生活安全課保安係に電話して、当該物件所在地での運用差異を確認します。「東京の感覚で大阪に出店しようとしたら距離規制で引っかかった」というような事故は、この2段階を踏めば防げます。
当センターは47都道府県すべての申請実績があり、都道府県ごとの条例差・所轄警察署ごとのローカル運用を蓄積しています。地方都市・観光地・繁華街どこでも対応可能です。
自分が同じ失敗をしないために、こんなケースは要注意
実務で繰り返し起きる差戻し・不許可の典型例を10件まとめました。事前確認すれば全部回避できる事故ばかりです。物件契約前・図面確定前・申請前に、この10件をチェックリストとして使ってください。
| No. | 事例 | 原因 | 事前確認の方法 |
|---|---|---|---|
| 1 | 用途地域不適合で不許可 | 住居系用途地域で1号申請 | 物件契約前に用途地域証明書を市区町村で取得 |
| 2 | 保護対象施設まで距離不足で不許可 | 近隣に学校・病院・図書館 | 営業所周囲略図で実測値を確認 |
| 3 | 客室面積16.5㎡未満で差戻し | 壁芯/内法計算の取り違え | 図面段階で行政書士・所轄警察署に確認 |
| 4 | 客室見通しを妨げる障壁(1m超)で差戻し | VIP席の高い仕切り | 図面段階で障壁高さを実測 |
| 5 | 住民票が3ヶ月期限切れで差戻し | 取得タイミングのズレ | 申請日30〜60日前に取得 |
| 6 | 身分証明書を本籍地と取り違え | 運転免許証を出した | 本籍地市区町村で発行する公的書類と理解 |
| 7 | 賃貸借契約書に「事務所用」と書かれていて差戻し | 使用目的の表記不備 | 契約段階で「風俗営業使用可」を条項に入れる |
| 8 | 2号申請で照度10ルクス超過で差戻し | 調光器最大値での測定漏れ | 設計段階で最大調光時の照度も計算 |
| 9 | 欠格事由(過去の罰金刑)で不許可 | 5年経過確認漏れ | 事前相談で経歴を申告して判定 |
| 10 | 図面と現場が違って現地確認立会で差戻し | 内装業者が独自変更 | 内装着工前と完了時の二重チェック |
これらはすべて事前に防げる事故です。当センターでは依頼を受けてからまず物件と図面を確認し、これら10件のチェックを必ず通します。1〜2件目(用途地域・距離規制)は物件契約前に潰すべき項目で、それ以降は契約後・申請前に潰します。
業種別の不許可ケースは1号の不許可7ケース、深夜酒類のやり直し事例もご覧ください。
許可が下りたあと、自分は何を続ければいいの?
風俗営業許可は取って終わりではありません。営業を続ける中で発生する変化のたびに、所轄警察署への届出が必要です。届出を怠ると行政処分の対象になるため、「何があったらいつまでに何を出す」を覚えておく必要があります。
| 届出種類 | 提出が必要な場面 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 変更届(軽微な変更) | 営業時間変更・営業の方法変更・名称変更 | 変更日から10日以内 |
| 変更承認申請(重要な変更) | 営業所の構造変更・客室の改築 | 変更前に承認申請 |
| 管理者変更届 | 管理者交代 | 変更日から14日以内 |
| 役員変更届 | 法人役員の就任・退任 | 変更日から14日以内 |
| 地位承継承認申請 | 相続・法人合併・事業譲渡 | 承継前に承認申請 |
| 廃業届 | 営業を辞めるとき | 廃業日から10日以内 |
| 滅失届・休止届 | 営業所の焼失・1年以上の営業休止 | 事実発生から10日以内 |
更新制度はありません。風俗営業許可(1号〜5号)は更新の概念がなく、営業を続ける限り有効です。ただし1年以上営業を休止すると許可は失効します(風適法第8条)。コロナ禍で1年以上閉めたら許可が消えていた、という事故が実際に発生しているため、休業中も毎月の最低限の営業実績を残すか、休止届を出して再開時の段取りを所轄警察署と擦り合わせることが重要です。
地位承継承認申請は、ぱちんこ店・大型雀荘・性風俗関連特殊営業など事業価値の高い業種で頻繁に発生する手続きです。代表者の死亡(相続)・法人合併・事業譲渡で営業者の名義が変わるとき、新しい営業者が許可を引き継ぐための承認申請を、変更前に提出します。承継後に変更届を出すのではなく、承継前に承認申請するのがポイントで、ここを誤ると承継無効として再申請になります。
変更届・地位承継申請も当センターで全国対応可能です。許可取得時にお付き合いがあれば、その後の届出ワークフローも継続してお手伝いできます。
風俗営業許可だけ取れば営業できる?他に必要な手続きは?
風俗営業許可は風適法だけで完結しません。実際の開業では、食品衛生法・建築基準法・消防法など複数の法律の手続きを並行して進めます。どれか一つが不備でも開業できないため、全体感を把握して並行作業を組むのが効率的です。
| 法律 | 所管 | 手続き | 論点 |
|---|---|---|---|
| 食品衛生法 | 保健所 | 飲食店営業許可 | キャバクラ・スナック・バー・雀荘で飲食提供する場合は必須 |
| 建築基準法 | 建築指導課 | 用途変更確認申請(200㎡超) | 事務所・物販から飲食店への用途変更は確認申請対象 |
| 消防法 | 消防署 | 防火対象物使用開始届・消防用設備等設置届 | 客席部分の不燃化・消火器・誘導灯・自動火災報知器の設置 |
| 労働基準法 | 労働基準監督署 | 労働条件通知書・36協定(深夜業ある場合) | 深夜帯従業員の労働時間・割増賃金 |
| 個人情報保護法 | 個人情報保護委員会 | 個人情報取扱事業者の取扱(届出は不要) | 会員カード・予約データの管理 |
| 所得税法・法人税法 | 税務署 | 開業届・青色申告承認申請(個人)/法人設立届 | 開業日から1〜2か月以内 |
とくに食品衛生法の飲食店営業許可は、1号・2号・3号・4号麻雀・深夜酒類のすべてで必須になります(食品を出さないぱちんこ店・ゲームセンターは不要)。風俗営業許可と食品衛生許可は別物で、所轄も警察署と保健所で違うため、両方を並行して進める必要があります。
消防法の防火対象物使用開始届は、内装工事の完了直前〜営業開始前のタイミングで消防署に提出します。風俗営業の現地確認立会のタイミングで、消防の検査も受けるケースがほとんど。客席部分の不燃化(壁紙・床材)・消火器の数・誘導灯・自動火災報知器の設置が論点で、ここで指摘を受けると内装業者に再施工を頼むことになり、開業日が後ろ倒しになります。
当センターは飲食店営業許可・防火対象物使用開始届・建築用途変更確認申請も並行してお手伝いできます。1ヶ所に依頼すれば、所管の違う手続きを一気通貫で進められます。
もし自分が違反したらどうなる?
知らないうちに違反になっている場合もあります
「ちゃんと許可を取って営業しているから自分は大丈夫」と思っていても、役員変更を出し忘れていた、管理者が辞めたあとの選任届を後回しにしていた、客室の一部を改装してしまった、そんな日常運営のなかで、知らないうちに違反状態になっているケースは少なくありません。日常業務のなかで気づかないうちに違反が積み重なる構造があるからこそ、運営後のルールの守り方は、許可を取ることと同じくらい大切です。
風適法違反は重い処分が並びます。行政処分(指示・営業停止・許可取消)と刑事罰(懲役・罰金)の二重構造です。営業停止1か月で経営が傾く店もあり、軽く見ていい話ではありません。
| 違反内容 | 行政処分 | 刑事罰 |
|---|---|---|
| 無許可営業(1号〜5号) | —(許可ないため処分対象外) | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 |
| 無届出営業(深夜酒類) | — | 100万円以下の罰金 |
| 営業時間制限違反(深夜0時超) | 営業停止(10日〜6か月) | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 |
| 18歳未満を客として接客 | 営業停止(40日〜6か月)または許可取消 | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 |
| 場所要件違反(保護対象施設距離不足) | 許可取消 | — |
| 構造設備違反(無断改築) | 営業停止または許可取消 | — |
| 許可なく接待(深夜酒類で接待) | 無許可営業として刑事罰へ | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 |
| 変更届の不提出(10日超過) | 指示処分 | 30万円以下の罰金 |
| 名義貸し | 許可取消 | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 |
行政処分は指示処分→営業停止処分→許可取消処分の3段階です。指示処分は改善命令の段階で、営業停止は最長6か月、許可取消は文字通り許可を消されて再申請から始め直すことになります。許可取消処分を受けると風適法第4条の欠格事由に該当し、5年間は新たな許可を取れません。経営者個人の名前が「ブラックリスト化」されるイメージで、別法人を作って同じ場所で再開業しても、役員に名前が入っていれば不許可になります。
もう一つ注意すべきが取締りの実態。所轄警察署生活安全課は定期的に営業時間帯の巡回(パトロール)を行い、営業時間・客の入退場・接待行為の有無・景品単価などを確認しています。「言われていないから大丈夫」ではなく、巡回時に違反を発見されれば即座に指示・営業停止です。
業種別の処分事例は深夜酒類の処分、5号の18歳未満規制違反などの記事をご覧ください。
自分は読み違いしてない?よくある7つの読み違い
風俗営業許可で実務上よくある読み違いを7つに整理しました。それぞれ、最初に正しく理解しておけば数十万円の損失と数か月の遅延を防げます。
- ポイント1:許可は更新が必要→ 1号〜5号許可に更新制度はなし。営業を続ける限り有効(ただし1年以上休止で失効)
- ポイント2:届出制は手続きが簡単→ 欠格事由・場所要件・構造要件は許可制と同水準で求められる
- ポイント3:物件契約してから許可申請→ 順番が逆。契約前に用途地域・距離規制を確認しないと不許可で契約損失
- ポイント4:身分証明書は運転免許証→ 違います。本籍地市区町村で発行する公的書類で、欠格事由非該当を証明するもの
- ポイント5:客室面積は床面積→ 違います。客が立ち入って遊興する部分の面積で、厨房・トイレ・廊下は含めない
- 読み違い6:法人にすれば自分の名前は出ない→ 違います。法人の役員全員に風適法第4条が適用され、欠格事由が見られる
- 読み違い7:許可が取れたら何も気にしなくていい→ 違います。変更届・管理者変更・地位承継など、営業中の届出義務がたくさんある
7つの読み違いを1件ずつ深掘りした間違いやすい7つのこと記事もご覧ください。
自分の業種の詳しい話はどこで読める?
ここまでの全体像を踏まえ、ご自身の業態に該当する区分の詳細記事へお進みください。各記事には必要書類の点数・図面の作り方・差戻し回避ポイントを業種別に深掘りしています。
- 風俗営業1号(接待飲食)|キャバクラ開業の必要書類17点
- 風俗営業1号|キャバクラが不許可になる7つのケース
- 風俗営業1号|ホストクラブ開業の3要件
- 風俗営業1号|管理者の選任要件
- 風俗営業2号|10ルクス以下の判定と低照度バーの審査
- 風俗営業2号|バーの書類と図面
- 風俗営業3号|カップル喫茶の区画席審査ポイント
- 風俗営業3号|個室バーの判定基準
- 風俗営業4号|麻雀店(雀荘)の許可申請
- 風俗営業4号|ぱちんこ店の必要書類
- 風俗営業4号|ぱちんこ店の地位承継
- 風俗営業5号|クレーンゲーム店の許可申請
- 風俗営業5号|メダルゲーム店の運営
- 深夜酒類|バーの届出必要書類
- 深夜酒類|届出が必要なケース
- 深夜酒類|クラフトビアパブ・タップルーム
- 性風俗関連特殊営業|デリヘル開業の必要書類
- 性風俗関連特殊営業|デリヘル広告規制
- 性風俗関連特殊営業|映像送信型の届出
- 性風俗関連特殊営業|電話異性紹介の届出
業態判定に迷う段階であれば、AIチャットでの相談か、お問い合わせフォームから業態の概要をお送りください。所轄警察署の事前相談前の段階で、入口の方向性を整理できます。
うちの場合は?よくいただくご質問
風俗営業の業種区分は何種類ありますか?
大きく3系統・8区分です。風俗営業1号〜5号(許可制・5区分)、深夜酒類提供飲食店(届出制・1区分)、性風俗関連特殊営業(届出制・店舗型/無店舗型/映像送信型/電話異性紹介の主要4区分)に分かれます。業態の実態(接待・酒類・遊技機・営業時間・客席構造)で機械的に分類されるため、選び替えはできません。
許可制と届出制の違いは何ですか?
許可制は公安委員会の事前審査を経て営業可否が判断される制度で、標準処理期間55日(土日祝除く)。届出制は受理されれば即日営業開始可能ですが、欠格事由・場所要件・構造要件は許可制と同水準で求められます。「届出だから簡単」ということはありません。
自分の業態がどの号に当たるか分からない時は?
接待の有無・酒類提供の有無・遊技機の有無・営業時間・客席構造の5軸で判定します。所轄警察署生活安全課保安係の事前相談で誤判定を防げます。事前相談は無料で、むしろ警察側も推奨しています。
風俗営業許可の費用はいくらかかりますか?
行政手数料は1号〜5号いずれも24,000円(収入証紙)。これに住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書・登記事項証明書等の取得実費(合計5,000〜15,000円程度)と、行政書士に依頼する場合の報酬(業種・地域・規模で15万円〜40万円が相場)が加わります。深夜酒類届出は手数料無料、無店舗型デリヘル等の届出も手数料無料です。
標準処理期間55日とは何ですか?
風適法施行令で定められた、許可申請受理から処分までの行政側の事務処理期間の目安です(土日祝除く)。書類完成から営業開始までは現地確認立会も含めて実質2〜3か月。開業3か月前のご依頼が安全です。
深夜のバーは届出だけでよいですか?
接待を伴わず酒類主体で深夜0時以降も営業する場合は深夜酒類提供飲食店営業開始届で営業可能です。ただし接待行為(隣に座る・お酌する・カラオケで一緒に歌う等)が一度でも発生すれば1号許可が必要となり、届出のままだと無許可営業として2年以下の懲役または200万円以下の罰金の対象になります。
性風俗関連特殊営業も警察に届け出るのですか?
届出制ですが、人的欠格事由・場所要件は許可制より厳しく運用されています。店舗型は新規開業ができない地域がほとんど、無店舗型は事務所所在地と本人確認の徹底、映像送信型はインターネット異性紹介事業との重複届出が論点になります。
都道府県によってルールは違いますか?
風適法は全国に適用されますが、保護対象施設までの距離規制(条例距離)と営業時間制限は都道府県条例で定められているため、地域差があります。東京都・大阪府・神奈川県では商業地域内でも100m前後の距離規制があり、地方の県では50m前後のところもあります。物件選定前に必ず所在地の都道府県条例を確認してください。
客室面積に基準はありますか?
1号は和室を除き1室16.5㎡以上、3号は1区画5㎡以下、と業種で逆方向の基準があります。客室の見通しを妨げる高さ1m超の障壁は1号で禁止。施行規則第6条以下に基準があり、図面段階で確認しておく必要があります。
管理者は誰でも選任できますか?
欠格事由(破産歴・罰金以上の刑歴等)に該当しない方で、営業所に常駐できる方であれば選任できます。申請者本人と兼任することも可能ですが、複数店舗を持つ場合は店舗ごとに別の管理者が必要です。
許可は何年で更新が必要ですか?
風俗営業許可(1号〜5号)には更新制度がなく、営業を続ける限り有効です。ただし1年以上営業を休止すると許可は失効します(風適法第8条)。深夜酒類提供届出も同様に更新は不要ですが、営業内容の変更時は変更届が必要です。
許可を取った後にやることは?
許可は取って終わりではなく、変更があるたびに届出が必要です。営業所の構造変更・管理者交代・役員変更・営業時間変更等は変更届を、相続や法人合併で営業者が変わるときは地位承継承認申請を、廃業時は廃業届を提出します。多くの届出は変更日から10日以内が期限です。
違反したらどうなりますか?
指示処分・営業停止処分(最長6か月)・許可取消処分の3段階の行政処分に加え、無許可営業は2年以下の懲役または200万円以下の罰金、無届出営業も100万円以下の罰金など刑事罰の対象です。一度許可取消処分を受けると欠格事由に該当し、5年間は再申請できません。
物件契約前に確認すべきことは?
用途地域・保護対象施設からの距離・建物構造の3点です。契約後に「許可下りない場所だった」という事故を防ぐため、物件契約前に立地調査と所轄警察署の事前相談を行うのが安全です。
申請を行政書士に依頼するメリットは?
6カテゴリ・17点以上の書類を期限管理しながら整える事務量、図面の構造要件適合確認、所轄警察署との事前相談同行、差戻し対応の経験値、47都道府県の条例差・所轄ローカル運用の蓄積が、自力申請との最大の差です。営業開始日が確定している案件ほど代行のリターンが大きくなります。
もっと詳しく読みたい...
気になるカードをクリックすると、その記事に飛びます。
適格要件
適格要件は誰が対象?人的・場所的・構造的の3要件を完全解説
許可が下りる人と下りない人を3軸で判定。物件契約前の必読記事。
申請の流れ
申請の流れ|物件契約から営業開始までのロードマップ
8ステップで全体像を把握。開業日から逆算した動き方。
読み違い
間違いやすい7つのこと|実務でよくある読み違いを解消
運転免許証と身分証明書の違い・物件契約前の確認・法人なら名前が出ないか等を整理。
欠格事由
欠格事由は?前科・破産歴があっても取れるケース
5年経過の意味・復権・執行猶予期間経過などを実務目線で。
業種ハブ|1号
風俗営業1号 接待飲食
キャバクラ・スナック・ホストクラブ・クラブの開業ガイド集。
業種ハブ|2号
風俗営業2号 低照度飲食
ムードバー・隠れ家系バー・カフェバーの開業要件。
業種ハブ|3号
風俗営業3号 区画飲食
カップル喫茶・個室バーの構造要件と申請フロー。
業種ハブ|4号
風俗営業4号 ぱちんこ・麻雀
パチンコ店・パチスロ・雀荘の地位承継・遊技機認定。
業種ハブ|5号
風俗営業5号 ゲームセンター
クレーンゲーム店・メダルゲーム場の入場制限・景品上限。
業種ハブ|深夜酒類
深夜酒類提供届出
バー・居酒屋・角打ち・クラフトビール店の届出ポイント。
業種ハブ|性風俗(無店舗型)
性風俗関連特殊営業(デリヘル)
無店舗型性風俗の事務所届出・派遣方法・HP規制。
業種ハブ|性風俗(店舗型)
性風俗関連特殊営業(店舗型)
店舗型性風俗の立地規制・地位承継・廃業届。
