業種カテゴリ|風俗営業2号(低照度飲食)
「10ルクス以下」で2号許可が必要になる?
照度基準と判断のポイントを解説
「内装の打ち合わせで設計士さんに『もう少し暗くしたほうが雰囲気出ますね』と言われた瞬間、ハッとしませんでしたか?」——実はこれ、私のところに毎月のように飛び込んでくるご相談なんです。「ムードを出したいだけなのに、いつの間にか風俗営業2号の世界に足を突っ込んでいた」というケースですよね。
ここで止まれた方は幸運です。物件契約・内装着工まで進んでから「あ、もしかして2号許可がいるんじゃ……」と気づくと、引き返すのに本当に苦労します。この記事では、私が現場で何度も問われてきた「10ルクスってどう判断するの?」を、申請者目線で噛み砕いてお伝えします。
こんな方のための記事です
- バー・ダイニングバー・ラウンジを開業予定で照明設計に悩んでいる方
- 現在の店舗の照度が2号許可の基準に該当するか確認したい方
- 調光設備・キャンドル照明等を使用している店舗の経営者
- 2号許可と1号許可・深夜酒類届出の違いを整理したい方
- 照度測定を自分で行いたいが正しい方法を知りたい方
10ルクスってどのくらいの暗さ?感覚で語れない数字の話
ところで、「10ルクスって、どのくらいの暗さですかね?」って、ご相談に来られる方の9割は最初にこの質問をされるんです。よく分かります、自分も最初に風適法を読んだとき、まったく感覚がつかめませんでしたから。
ざっくり言うと、10ルクスというのは「すぐ目の前にいる人の表情はかろうじて分かるけれど、メニュー表の小さい文字はちょっと読みづらい」くらいの明るさなんです。家庭用のリビング照明はだいたい200〜500ルクス、コンビニで1,000ルクスくらいですから、10ルクスは「コンビニの100分の1」と言うとイメージが湧くかもしれませんね。
ここが大事なんですが、風適法第2条第1項第2号は「客室の照度を10ルクス以下として営む飲食店営業」を風俗営業2号と定義しています。「以下」ですから10ルクスを含みます。「ちょうど10ルクス」でも2号の世界に入るんです。これ、読み違いしている方が本当に多いんですよ。
もう一つ、見落としやすいポイントがあって。10ルクス基準は「最も暗い1点」で判定されます。客室の入口は明るくても、奥のソファ席で10ルクスを切れば、その店舗は2号の対象になることがあるんです。「平均10ルクス超」では足りません。なお、各都道府県の条例で営業時間や立地に追加の規制が乗ることがありますので、開業予定地の管轄警察署に必ず確認することをお勧めします。
「測ったら12ルクスでした」その自信、現場でひっくり返ります
「自分で計ったら12ルクスありました、なので2号は要らないですよね?」——こういうご相談、年に十数件は受けます。ですが、ここで安心するのは早いんです。
現場で何が起きるかというと、警察官が現地確認に来た日に、自分の照度計で実測されます。そのとき、こちらが計ったポジションと違う場所で測られたり、照明の状態が営業中設定でなかったりすると、いきなり9ルクスとか出ることがあるんですよね。実際、「自分は12ルクスで申請しないつもりだったのに、警察の実測で8ルクスが出て、その場で2号許可申請に切り替えになった」という事例が、ここ数年だけで複数あります。
ですから、測定の条件は「実際の営業状態と完全に同じ」にすることが大前提です。下に整理しますね。
| 測定条件 | 内容・目安 |
|---|---|
| 測定高さ | 床面から約85cm(客が着席した際のテーブル面高さを想定) |
| 測定箇所 | 客室内の最も暗い箇所(通常は照明から最も離れた位置) |
| 測定時の照明条件 | 実際の営業時と同じ照明設定で測定 |
| 使用する照度計 | JIS規格準拠品が望ましい |
| 測定記録 | 写真・図面への測定点明記で記録を残す |
表だけ見ると「ふーん」で終わってしまうので、もう一段補足します。実務でつまずきやすいのは「キャンドルを点けた状態で測るか、消した状態で測るか」「BGMで人がしゃべると感じる体感の暗さと、照度計が拾う数値はズレる」という2点なんです。前者は営業中に点ける運用なら点けた状態、消す瞬間があるなら消した状態の両方を計って下さい。後者は「体感で暗いから10ルクス以下」と判断するのは危険、ということです。記録は写真と平面図への測定点書き込みでセットで残すのが、申請でも立入でも一番強い武器になります。
「これって2号なの、1号なの、深夜届出だけでいいの?」迷子の方へ
つまり、ここまでで一番混乱されるのが「結局、自分の店はどれに該当するの?」という点です。「ガールズバーをやりたい」「ジャズの流れる薄暗いバーをやりたい」「キャンドルだけのフレンチを夜遅くまでやりたい」——どれも一見似ているのに、必要な手続きが全部違ったりするんです。
先日もこういうご相談がありました。「ダイニングバーで、女性スタッフがカウンター越しに会話するだけ、照明はかなり落とす、深夜0時前に閉める。これって何の許可が要りますか?」——答えは、接待がなく10ルクス以下なら2号、10ルクス超なら飲食店営業許可だけで足りる可能性がある、なんです。たった2ルクスの差で世界が変わります。
整理するとこうなります。
- 2号許可が必要:接待なし・照度10ルクス以下で酒類を中心に提供する店舗(ムードバー等)
- 1号許可が必要:接待行為あり・照度は問わない(照度が10ルクス以下でも接待があれば1号)
- 深夜酒類提供届出のみ:接待なし・照度10ルクス超・深夜0時以降営業する飲食店
- 飲食店営業許可のみ:接待なし・照度10ルクス超・深夜0時前に閉店する店舗
ここからが本題で、「自分は接待していないつもりだ」というご認識と、警察の見方が違うことがあるんです。スタッフが特定のお客様の隣に座って継続的に話す——これは接待と判断されることがあります。判断が分かれそうな業態は、物件契約の前に一度ご相談いただくと、後の作り直しを丸ごと回避できます。
現場で実際にあった「10ルクス事件簿」3件
少し具体的なお話をします。匿名化したうえで、私のところに来た実例を3つご紹介しますね。
事例1:内装屋さんが良かれと思って明るくしてしまった。オーナーさんは「2号で申請したいので暗めに」と伝えていたんです。ですが、内装屋さんが施工最終日にスポットライトを2本増設してくれて、当日測ったら15ルクス。「明るいほうがお客様に喜ばれるかと」とのご好意だったのですが、これでは2号の要件を満たしません。スポットライトを撤去するか、調光器を追加するかで一悶着ありました。施工指示書に「客室最低照度8ルクス以下を保つ」と書いておけば防げた事故です。
事例2:日中の自然光が入ってしまう。夜だけ営業のはずだったのですが、たまたま日没前に試営業をやったら、窓から入る西日で20ルクス。これは2号の要件外で営業した時間帯になります。遮光カーテンを後付けで導入する案でまとまりましたが、当初設計でブラインドを入れておけば不要な出費でした。
事例3:LED電球を「同じワット数」で交換したのに照度が変わった。LEDは同じW表示でもルーメン値が全然違うことがあります。電球交換の前後で照度が変わるなんて、普通の方は想像しませんよね。ですが、申請後の照度から大幅に乖離すれば、変更届の対象になることがあります。電球交換は「電球パッケージのルーメン値が前と同じか」を必ず確認してください。
共通しているのは、どれも悪意ではなく、知らなかっただけで起きている事故です。だからこそ、開業前のヒアリングで「ここ、危ないですよ」と先回りでお伝えする時間が、結果的にお客様の損失を一番大きく減らせると思っています。
よくあるご質問
照度はどこで測定しますか?
客室の床面から高さ85cm(テーブル・椅子の高さを想定)の水平面上で、最も暗い箇所を測定するのが一般的です。測定点の具体的な定め方は管轄警察署の指定・慣行によって異なることがありますので、申請前に確認することをお勧めします。
10ルクスを超えていれば2号許可は不要ですか?
10ルクスを超えていれば2号(低照度飲食)には非該当ですが、接待行為が伴う場合は1号許可が、区画席の構造によっては3号許可が必要になることがあります。照度だけでなく営業形態全体で判断する必要があります。
調光設備で照度を可変にする場合、2号許可が必要ですか?
営業中に10ルクス以下にする運用が想定される場合、2号許可を取得することが求められます。「常時10ルクス超で運用する」という説明だけでは認められないことがあります。調光設備を設置する場合は事前に管轄警察署に相談してください。
2号許可と1号許可を両方取ることはできますか?
同一の営業所に対して複数の風俗営業許可を取得することは想定されていません。営業の実態に合った1つの許可番号での申請が原則です。業態が複合している場合はどちらに該当するか判断が必要ですので、行政書士へご相談ください。
LED照明に変更したら照度が上がり2号許可が不要になりますか?
実際の照度が10ルクスを超えれば2号非該当となりますが、許可を受けている場合は廃業届と再申請(または変更届)が必要になる場合があります。照明設備の変更前に管轄警察署に確認してください。
キャンドル照明だけで営業する場合も2号許可が必要ですか?
キャンドルだけの店舗は実測で10ルクスを下回ることがほとんどです。その運用を想定するなら2号許可の対象になることが多いです。また消防法上の火気使用規制やビル管理規約の確認も別途必要になります。
日中だけ営業すれば2号許可は要りませんか?
営業時間帯の実際の照度で判断されますので、日中に自然光で10ルクスを十分超えるなら2号非該当となることがあります。ただし夜の試営業や貸切等で10ルクス以下にする予定があるなら、別途検討が必要です。
