社会福祉法人が居住支援法人の指定を受ける際の注意点まとめ

社会福祉法人が居住支援法人の指定を受ける場合、他の法人形態とは異なる確認事項が生じることがあります。既存の社会福祉事業との関係を整理しながら、指定を受けるにあたって注意しておきたいポイントをまとめます。

社会福祉法人ならではの確認事項

社会福祉法人が居住支援法人の指定を受ける場合、株式会社やNPO法人などとは異なる制度上の確認事項があります。社会福祉法人は、法律に基づいて事業の範囲があらかじめ定められている性質を持つため、居住支援法人としての活動を行うにあたって、既存の定款や事業内容との整合性を確認する必要があります。

定款上の事業目的の確認

社会福祉法人が居住支援法人の指定を申請する際には、定款に定められた事業目的の中に、居住支援に関連する活動が含まれているかを確認することが出発点になります。既存の定款が高齢者福祉や障がい者福祉に特化した内容になっている場合、居住支援活動を行うために定款変更の手続きが必要になることがあります。定款変更には所轄庁の認可が必要となる場合があるため、指定申請のスケジュールとあわせて、定款変更にかかる期間も考慮しておく必要があります。

既存事業との会計・体制の区分

社会福祉法人は会計上の区分経理が求められる性質を持つ法人形態です。居住支援法人としての活動を新たに行う場合、既存の社会福祉事業の会計と、居住支援活動にかかる収支をどのように整理するかについても、あらかじめ検討しておく必要があります。人員体制についても、既存事業のスタッフが居住支援活動を兼務するのか、専任の担当者を配置するのかによって、実務上の準備が変わってきます。

所轄庁との調整も視野に入れる

社会福祉法人は、法人運営全般について所轄庁の監督を受ける立場にあります。居住支援法人としての新たな活動を始めるにあたって、事前に所轄庁へ相談し、定款変更や事業内容の追加について理解を得ておくことで、後になって指摘を受けるリスクを減らすことができます。指定申請を行う都道府県の窓口だけでなく、法人運営を監督する所轄庁とも、必要に応じて事前にコミュニケーションを取っておくことが望ましいといえます。

専門家に相談しながら進める意義

社会福祉法人が居住支援法人の指定を目指す場合、定款変更の要否、会計区分の整理、所轄庁との調整など、確認すべき事項が多岐にわたります。行政書士など、社会福祉法人の制度と居住支援法人の指定制度の両方に理解のある専門家に相談しながら進めることで、見落としを防ぎ、スムーズな指定取得につなげやすくなります。

既存の福祉サービスとの相乗効果

社会福祉法人が居住支援法人の指定を受けることで得られるメリットの一つは、既存の福祉サービスの利用者に対して、住まいの相談という新たな支援の切り口を持てることです。例えば、高齢者福祉施設を運営している法人であれば、施設入所を検討する前段階の在宅生活を続けたい高齢者に対して、住まいの確保を含めた相談対応ができるようになります。既存の福祉サービスと居住支援活動を組み合わせることで、利用者一人ひとりの生活課題により幅広く対応できる体制を築くことができます。

理事会・評議員会での説明も丁寧に

社会福祉法人には理事会や評議員会といった意思決定機関があり、新たに居住支援法人としての活動を始める際には、こうした機関での説明や承認手続きも必要になります。既存の福祉事業との違いや、居住支援活動を行う意義について、理事や評議員に丁寧に説明し、法人内部での合意形成を図っておくことが、円滑な事業開始につながります。定款変更を伴う場合は、こうした内部手続きと所轄庁への手続きの両方を見据えたスケジュール管理が欠かせません。

指定後を見据えた準備の重要性

社会福祉法人が居住支援法人の指定を受ける準備を進める際には、指定を受けた後の運営体制まで見据えておくことが望ましいといえます。定款変更や会計区分の整理は、指定申請の段階だけでなく、指定後も継続的に維持していく必要がある事項です。申請の準備段階から、指定後の報告業務や体制維持を担う担当者を意識しておくことで、指定を受けてからの移行がよりスムーズになります。

よくある質問

Q.社会福祉法人であれば、居住支援法人の指定を受けやすいのでしょうか?

A.社会福祉法人は福祉分野での実績や体制が評価材料になりやすい面はありますが、指定要件を満たす必要がある点は他の法人形態と変わりません。定款上の目的や事業内容が居住支援活動を含んでいるかの確認は特に重要です。

Q.居住支援法人の指定を受けると、既存の社会福祉事業に影響はありますか?

A.居住支援法人としての活動を適切に区分して行う限り、既存の社会福祉事業に直接的な支障が生じるものではありません。ただし、体制や人員配置の面で既存事業と兼務する場合は、業務負担のバランスを事前に検討しておく必要があります。

まとめ

社会福祉法人が居住支援法人の指定を受ける際には、定款上の事業目的が居住支援活動を含んでいるかの確認や、必要に応じた定款変更、既存事業との会計・体制の区分整理、所轄庁との事前調整といった、他の法人形態とは異なる確認事項があります。専門家に相談しながら計画的に準備を進めることが重要です。

阿久津和宏

阿久津和宏(あくつ かずひろ)

あくつ行政書士事務所 代表/行政書士/Well Consultant合同会社 代表

セブン‐イレブン・ジャパンで店舗運営コンサルタントとして、加盟店オーナーが日々ぶつかる経営課題に向き合ってきました。独立後は行政書士・経済産業省認定 経営革新等認定支援機関として、許認可申請の支援に携わっています。「申請を通すこと」をゴールにせず、その先の事業をどう運営していくかまで踏み込んで設計する姿勢を大切にしており、居住支援法人の指定申請支援では、指定後に活用できる補助金・助成金の情報提供も含めて伴走します。

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