居住支援法人とは?住宅確保要配慮者を支える6つの支援業務をわかりやすく解説

「居住支援法人って、結局どんなことをする法人なんですか?」——指定申請のご相談で、最初に必ずと言っていいほど聞かれる質問です。結論からお伝えすると、居住支援法人とは、高齢者や障がいのある方、生活困窮者など「住宅確保要配慮者」の入居を後押しするために、都道府県知事の指定を受けた法人のことです。この記事では、居住支援法人の制度概要と、法律で定められた6つの支援業務を、行政書士の視点でわかりやすく整理します。

居住支援法人とは何か

居住支援法人とは、賃貸住宅を借りにくい立場にある人を支えるために、都道府県知事から指定を受けた民間法人のことです。高齢化や単身世帯の増加を背景に、保証人がいない、収入が不安定といった理由で入居を断られてしまうケースが各地で起きています。この課題に対応するため、平成29年10月25日に施行された改正住宅セーフティネット法によって制度化されたのが居住支援法人です。

指定を受けられる法人形態は幅広く、NPO法人、社会福祉法人、一般社団法人、株式会社などが対象になります。すでに福祉や不動産に関わる事業を行っている法人が、その延長線上で居住支援法人の指定を受けるケースが多く見られます。

住宅確保要配慮者とは誰のことか

住宅確保要配慮者とは、住宅の確保に特に配慮が必要な人を指す法律上の言葉です。具体的には、次のような方々が該当します。

  • 高齢者(単身・夫婦のみの世帯を含む)
  • 障がいのある方
  • 子育て世帯(ひとり親世帯を含む)
  • 低額所得者
  • 被災者(発災後3年以内)
  • DV被害者、外国人など、都道府県が地域の実情に応じて定める方

つまり、「福祉の対象者」に限らず、賃貸住宅市場において不利になりやすいさまざまな立場の人が対象になっている点が特徴です。

居住支援法人が担う6つの支援業務

居住支援法人の業務は、住宅セーフティネット法第62条によって6つに整理されています。指定を受けたからといってすべてを必ず実施しなければならないわけではなく、法人の実情に応じて組み合わせて実施します。

業務内容
(1) 家賃債務保証業務登録住宅*1入居者への家賃債務保証を行う業務です(法第62条第1号業務)。実施する場合は業務規程の整備と都道府県知事の承認が必要です。
(2) 入居促進の情報提供・相談住宅確保要配慮者*2に対する賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する情報提供・相談その他の援助を行う業務です(法第62条第2号業務)。
(3) 生活安定・向上の情報提供・相談住宅確保要配慮者に対する生活の安定・向上に関する情報提供・相談その他の援助を行う業務です(法第62条第3号業務)。
(4) 賃貸人への情報提供賃貸住宅の賃貸人に対し、住宅確保要配慮者への賃貸住宅の供給の促進を図るための情報提供を行う業務です(法第62条第4号業務)。
(5) 残置物処理等業務住宅確保要配慮者からの委託に基づき、残置物の処理等を行う業務です(法第62条第5号業務)。
(6) 附帯業務上記(1)〜(5)の業務に附帯する業務です(法第62条第6号業務)。

*1:住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録された円滑入居賃貸住宅(いわゆる「セーフティネット住宅」)
*2:高齢者・障がい者・子育て世帯・低額所得者・被災者など、住宅の確保に特に配慮を要する方

出典:埼玉県「住宅確保要配慮者居住支援法人について」(本文は同ページの記載に基づき作成。詳細は最新の都道府県公式情報でご確認ください)

居住支援法人の指定を受けられる法人とは

結論として、法人であれば形態を問わず指定の対象になり得ますが、都道府県の審査では主に3つの観点が確認されます。

財産的基礎

継続的に事業を運営できるだけの財務的な基盤があるかどうかが確認されます。売上実績が少ない法人でも、財務諸表や事業計画の内容次第で審査に進める余地があります。

実施体制

相談対応や情報提供を継続的に行える人員体制が整っているかが確認されます。少人数の法人であっても、体制の考え方を明確に示すことで対応可能です。

事業計画

指定後にどの業務をどのように実施していくか、具体性のある計画になっているかが問われます。ここが最も審査担当者に伝わりやすさを左右する部分です。

指定申請はどのように進むのか

指定申請の大まかな流れは、以下のとおりです。都道府県によって必要書類や審査基準に差があるため、対象地域の最新情報をあわせて確認する必要があります。

  1. 都道府県窓口(または専門家)への事前相談
  2. 定款・財務諸表・事業計画書など必要書類の準備
  3. 指定申請書の提出
  4. 都道府県による審査
  5. 指定通知(指定後は都道府県への定期報告が始まります)

よくある質問

Q.居住支援の実績がなくても居住支援法人の指定は受けられますか?

A.実績がまだない段階でもご相談いただけます。現在の事業内容や体制をもとに、審査で確認される財産的基礎・実施体制・事業計画のポイントを一緒に整理します。

Q.居住支援は行っていますが事業として売上が出ていません。それでも大丈夫ですか?

A.事業化前の段階でも、財産的基礎や事業計画の作り方次第で申請準備は可能です。個別の状況を確認したうえでご案内します。

Q.居住支援法人の指定を受けるための要件は何ですか?

A.法人であること、財産的基礎、実施体制、事業計画などが確認されます。都道府県によって細部が異なるため、対象地域を確認したうえでご案内します。

Q.指定申請にはどのような書類が必要ですか?

A.定款、財務諸表、事業計画書などが基本となりますが、都道府県ごとに指定様式が異なります。詳細は個別にご案内します。

Q.居住支援法人になると補助金が使えると聞きました。本当ですか?

A.居住支援法人の活動を対象にした補助制度があります。対象範囲や金額は制度・年度により異なるため、最新の公募要領を確認してご案内します。

まとめ

居住支援法人は、住宅確保要配慮者と賃貸住宅をつなぐ役割を担う、都道府県知事の指定を受けた法人です。担う業務は法第62条に定める6つに整理されており、実績や売上が少ない段階でも、財産的基礎・実施体制・事業計画を整理することで指定申請を進められる余地があります。すでに福祉・不動産・就労支援などの事業を行っている法人にとっては、既存事業との相乗効果も期待できる制度です。

阿久津和宏

阿久津和宏(あくつ かずひろ)

あくつ行政書士事務所 代表/行政書士/Well Consultant合同会社 代表

セブン‐イレブン・ジャパンで店舗運営コンサルタントとして、加盟店オーナーが日々ぶつかる経営課題に向き合ってきました。独立後は行政書士・経済産業省認定 経営革新等認定支援機関として、許認可申請の支援に携わっています。「申請を通すこと」をゴールにせず、その先の事業をどう運営していくかまで踏み込んで設計する姿勢を大切にしており、居住支援法人の指定申請支援では、指定後に活用できる補助金・助成金の情報提供も含めて伴走します。

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